第6話


 情けなく恥ずかしい。下腹からぬるっと糸を垂らしソファーをぐっしょりと濡らしてしまっている。

 ケツだけ突き出す姿で虚脱感に包まれていたところをまた強く揺すられ、


「もうやだ……イッた! さっきイッだのにっ」


 痛みより快楽のほうが苦しく、たまらず目から涙が零れた。

 右京が背筋になんども接吻を落としぽつりと呟く。


「asmr。新の好きだったんだ」

「うぅ゙……なんだよ……それぇ」


 不意に投げ出されたイヤホンから漏れた音が聞こえた。オナニーの最中に聴いていた音源だろう。

 吐息が多い中性ボイスの喘ぎ声。


『あ……ああ……くっぅ……ん……いき……そー…』


 世間は俺に罪があると捨て仕事も失ったというのに。それなのに、こいつは。

 俺のことをまだ忘れずに、しかも古株のファンでありながらガチ恋勢の一人だって言うのか。

 その音源は俺の過去動画にあげたBLシチュエーションasmrだった。


「俺さー…ずっとお前を抱きたかった。まさか推しが殺しに来て、生で抱いて聴けるなんてー…抱いて推しの手で死ねるならもっとーだ」


 こいつ、狂ってる。

 自分を殺しに来た奴に好きだったと男の俺をレイプして殺されてもいいと。でも、だけど。

 だけどさ、純粋に俺が好きでずっと片想いしてくれてる奴なんだって思うとー…。


かわいいー…て、思った俺もどうかしてる。


 一度達した体は快楽を知り直ぐにまたじわりと熱が込み上げだした。

 強く前立腺を擦られて、この焦れったい快感から開放して欲しくて。涙で滲んだ瞳でねだる。


「いか……っ……せてっ……」


 快楽が俺を追いつめていくから。

 いきたくていきたくて啜り泣きじゃくった。


「ん゙くっ……きつすぎ……イけよ」

「あぁっ」


 一際強く腰を抱き中で右京の精が弾けると、俺はまたお前を受け入れ喘ぎ体液を放った。

 二人脱力感の中、体を重ねて絆されたのだろうか。


「俺を殺してもいいよー…」


 そう言って優しく微笑むから。

 そんな、好き過ぎて幸せそうな顔をされたら殺しづらいじゃねぇか。くそっ。

 鉛のような怠さに目をつむり額に手を当てた。


「今はタイミングが悪りぃー…」


 右京が嬉しそうに抱き締め、その腕の中で俺はゆっくりと眠りについた。


  

                   完





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読んで頂きありがとうございます!

何度も文章力で詰まったですが読者様のおかげで書きあげられました。本当に感謝です!

是非コメントいいねフォローしてくれると励みになります。他の作品も読んでくれるととても喜びます。

blまた書こうかなぁ。とりあえず中途半端な作品を完成させていこう……かな。

またよろしくお願いします☺

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