第3話
「なにをしたらいいんだよ……」
フェロモンを漂わす右京の前まで来たものの、男との経験も、初恋すらしたこともない俺だ。何をどうするか当然わかるはずない。
「手、貸せよ」
掴まれた手は怖気づき僅かな抵抗も虚しく、引かれるがまま右京のガチガチに固まった物に触れる。
下から上へ手を添えられたまま動かすと、途中乱入だったからか。既に溢れ出ていた愛液がくちゅくちゅと鳴り響いた。
「しっかり握れよ」
吐息が顔にかかるのを感じながら、右京が俺の手を野放しにした。
「わかってるよ!」
こんなにもどうして顔がいいのか、恨みたくなるほどの色気に目がぐるぐると回りそうだ。
それに俺よりもデカすぎるんだよ、と唾をのみこまずにはいられない。
今度はゆっくりと自身の意志で手を動かすと、僅かだがピクと反応するのがわかり心がざわめいた。
唇から漏れる小さなうめき声と吐息に、俺の呼吸も乱されてくる。
右京の淫らな姿に興奮なんかするもんかと思えば思うほど眉に皺をよせた。
ー…つられてたまるもんか。
手は継続したまま、なんとか息を整えようと新は深い息をする。
「すぅハァアアー………すぅハァッ………」
「ウッ………ハァ……んッ……」
もう、わけわかんねぇ。こんなのさっさと終わらせよう。そう思いスピードをあげ、もう呼吸なんて気にせず手に集中した。
「や………めろ……んッ……」
シュッ。シュッ。シュッシュッ。
「やめ……イッやめ……ろって……」
もっと、もっとだ。手を動かせ。
「おいッ!」
「ハァ……ハァ……ハァ……?」
右京が粘液でべたべたになった手を掴んでいた。
えッ……は? なんで止めるんだ? 明らかにコイツはイキそうだったはずなのに。絶頂前だったくせに。
意味がわからなかった。
ふぅううー…ふぅううー…と苦しげにしているくせになぜ阻止したのか。
イカせて欲しかったんじゃなかったのかよ?
お前が手伝えって言ったんだ。だから俺ー…。
やめろって言われて、それがまさか、本気だとは思っていなかった。でも、それよりも。
もっと驚いたのは、手を鷲掴みでもされなければ止められてもイカせようとしてたことだ。右京の必死に止める声も途中から聞こえないほどに理性を飛ばしかけたことだ。
右京が俺の手を掴んだまま。もう片方の手でつけたままだったイヤホンを床に投げ出した。そしてー…。
「えっ……?」
片手を強く引っ張られ、俺の視界は鼠色のソファが広まった。右京が居なくなった。いや、正確には上下が入れ替わった。
背後に右京を感じるが、この事態が非常にマズイと理解するには時間がかかった俺だった。
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