第14話 病院③
「Aー……ハウマッチ?」
無事に診察を終えた僕は。今度は別の意味で緊張していた。
そう、いよいよ支払である。
ちなみに、海外での救急車と診察料に関して莫大な医療費を請求されるケースがあるのは、みんなよく知っていると思う。
例えば、日本の場合は救急車を呼んだ場合、無料で乗ることができる。
アメリカの場合はやばい。なんと平均16万~24万円もかかる。
日本の初診代は平均3000円もしないが、アメリカは2万8千~4万6千円。
入院の個室費に限っては、日本は3万~10万ほどだが。アメリカは31万円だ。
アメリカで保険会社が儲かるわけである。
こういった背景から、海外ドラマでよくある闇医者のようなキャラクターは、実は現実で結構いたりする。
さておき、マレーシアの場合はどうなるのか。
保険なし、他国、初診、抗生物質などを含めた診察料、処方箋。
100万単位は流石に勘弁してくれ!と祈る。
ささやき - いのり - えいしょう - ねんじろ!
「Hi Mr、270MYR」
270…
270……!?
「えーっとミセス、K。単位はリンギットであってますかね?」
『YES、270リンギット!』
うおおおおおおおおおおおお!!!
勝った!!!!!!!!!
270リンギット。
日本円にすると、約8,462円である。
「え、ちょっとまって。安すぎないか?」
当然、疑う。
日本だったら、無保険の場合でももうちょっとかかる。いや、もしかしたら日本の薬局のように、処方箋は薬局などで別途支払いだからこそ、この値段なのではないのか
? と、考える。
とりあえず、財布からなけなしの300リンギットを払い、いぶかし気に待つ。
すると会計の受付が「ちょっとまってね」というジェスチャーをすると、部屋の奥へと入っていった。
待つこと3分。
4種類の薬を詰めたビニール製の処方箋袋を持ってくると、わざわざまとめて渡してくれた。
「
「あ、あーThank you」
素直に受け取ると、あっさり終わった。
え?
ウソデショ…?
ヨカッタデスネー! とほほ笑んでくれるKさんと共に、病院を出て車へ向かう。
安心感の前に、疑問点が多すぎて頭が真っ白になる。
疑問を残したままは目覚めが悪い。ここは効いた方が早いだろう。
「あーKさん。マレーシアの料金、すごい安いですね。これが普通なの?」
「YES。マレーシア、病院すごく安い」
「OK、なんでこんなに安いんだろう?」
「マレーシアでの医療費は
「ファーー!?」
「国の人間で、行く場所が国公立病院の方だったら、政府が運営しているから、医療費は全額国が負担してくれるの」
「つまり…え、国民だと医療費が0!?」
「YES」
「半端ねぇ……」
マジで、半端ねぇ…と、震えた。
もちろん、外国人なら今回のように救急車を呼んだときなんかもお金が請求される。
それはもう、無保険だし他国の人間だから仕方がないと思うが、それでも破格の待遇だ。(パスポートが来院時の身分証明書になるので、絶対に肌身離さず持つこと)
ちなみに、市立病院の場合は最新機材もそろえられている上に、医療水準は先進国並み。欧米での医師免許も取っている人も多いらしく。逆に世界各国から研修目的でマレーシアに滞在する医学生なども多いらしい。
これは、目からうろこだった。
海を渡って、いきなりアクシデントの連続ではあったが、普通じゃ絶対に調べなかったであろう情報を勉強できた気がする。
とにかく、抗生物質を打ってもらい、追加の処方箋も貰ったことによる安心感がすごい。すると腹が減ってくる。時刻は13時を少し過ぎたぐらいになっていた。
「キツネさん、ご飯食べてホテルへ帰りましょう。少し歩ける?」
「いけます!!」
その後、個性的な豚の
「これは……人を選ぶな……」とニヒルな笑いを浮かべながらホテルへ送ってもらうことになるのだが、そこは割愛しようと思う。
とにかく、海外旅行に行くことになったら、みんなも必ず旅行用の医療保険などは見ておいた方が良い。絶対に。
*
そしてマレーシアの日々を過ごしながら、投薬と睡眠。栄養摂取。そして仕事に明け暮れる。
あっという間に4日が過ぎ、帰国の日程が迫っていた。
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