第3話 今なら5連ガチャ無料! リセマラしまくれ祭り!

「『伸びしろハンパねぇ』、か……」


 って、何だよこれ!?

 意味分かんねーぞ!


「あん? お前、なにか背中に変なもん背負ってんな?」


 ちょっ……盗賊の野郎、勝手に俺のガチャマシーンに触るんじゃあねぇ!


「おい! こりゃあ見た事ねぇ代物だ。もしかしたら、すげえお宝かもしれねぇ!」


「おい! やめろ! この輩!」


 盗賊共め。

 無理やり俺からガチャマシーンを引きはがそうとしやがる。

 揺らすと中のガチャが傷つくだろ。


 ……てか、『伸びしろハンパねぇ』は一体どんなスキルなんだよ!

 なんも発動しねーぞ!


 おいおい!

 フェリアス見てねーで助けろ!

 俺が死んだら魔王はどうなる?


「トウヘイ! もう一回、ガチャを回せ! 今なら5連ガチャ無料だ!」


 フェリアス、つまりはこういうことか?


「リセマラ!」


 俺はもう一度、勢いよくレバーを回転させる。


ゴロリ!


 勢いよく排出されるガチャ。

 盗賊がそれを奪うより先に、俺は手元に収める。

 いつもの要領で、パカリと開ける。

 水色の紙が入っている。


「『水魔法レベル1』!」


 思わず、記載事項を読み上げる俺。

 よし!

 いい感じのスキルをゲット。


 ふわりとガチャから水色の紙が浮き上がり、俺の目の前で弾ける。


<スキル取得『水魔法レベル1』を獲得しました>


 定番の女性のアナウンスが脳内にこだまする。

 俺は手にしたのだ。

 『水魔法レベル1』を!


「俺にも回させろや!」


 触らせるかよ!

 俺のガチャだぞ!


「スプラッシュウオーター!」


 五指からほとばしるは、水のレーザー砲。

 うち抜け!

 不埒な輩共の五体を。


「ぐわぁ!」

「いでぇ!」

「うぐあ!」


 さっきのゴブリンみたいに北斗の拳の雑魚みたいな断末魔を上げ、倒れる盗賊達。

 水のレーザ砲は、盗賊の身体を穴だらけにした。


「よくやった! トウヘイ」


 フェリアスは俺の頭を撫でる。

 小学生みたいな女の子に頭を撫でられるのは、嫌じゃない……いや、いや、屈辱だ。


「おい! マシなスキルが出たからいいものを、これが『空間から緑茶を出す』とか『スペランカーが上手くなる』とかだったら死んでたぞ!」


「運の要素が強いのがガチャのいいところでもあり、悪いところでもある」


「くっ……こっちの身にもなってみろ」


 この背中のガチャマシーンだけが俺がこの世界で生きていく術であり、命綱だ。

 その頼みの綱が、運の要素を多く孕んでいる。

 実際、スマホゲームでもガチャ頼みの場面が多い。

 少しでも良いアイテムや仲間を手に入れるには、金が要る。

 命を取られないが金は取られる。

 この世界では、その辺りどうなっている?

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