ep3 風紀委員とルール
「風紀条約第2条により、ここは能力の使用禁止となっております 」
「うっ、でも人助けのためだし 」
「ダメなものはダメです 」
ビシりと突きつけられる言葉に冷たさを感じる。 腰まで伸びた髪、腰に構えた
この都市部での警察のような役割をしている。 もちろん彼女だけで全てこなしてる訳ではなく、ブロックごとに分けられた部隊が日替わりで警備に着くというものだ。
局は風紀局以外にもあるらしく、年齢不問!大人も小どもも大歓迎!がキャッチコピーらしい。 なにより魅力なのが賃金が出るところだろう。 訓練期間もあるが、それさえ耐え抜けばコンビニなんて低収入より遥かに稼げる。 って改札のチラシに書いてた。
「人助けもできない風紀局員よりよっぽど正義感あると思うけどね 」
彼女はムッとして咲夜に向かって言い返し始めた。
「私たちにもできない仕事もあるんです。 これが仕事ですから 」
「まぁまぁ、
間を割るように現れたのは階段を落ちた眼鏡男子。 優しい顔立ちにキリッとした四角いメガネでメリハリのある整った顔立ちをしている。 いわゆる美男子だ。 言い方も嫌気のないスルッと入ってくるような感じで心地よい。
「え?小林先輩?!なんでここに? 」
「ほらいいから、ね? 」
野上さんと呼ばれた少女は「次は容赦しませんから」って言って慌ててその長い髪をかきあげて去っていった。
「えっと、助けて下さりありがとうございます…… お怪我とかありませんか? 」
「大丈夫ですよ、貴方の能力のおかげで傷一つありません。 栗まんじゅうも全部無事です 」
え…… あのバッグの中身全部栗まんじゅう?ちょっと、いやかなり変な人かもしれん。
「そうだ、貴方にもこの栗まんじゅうあげますよ。 ええと……お名前はなんて言うんですか? 」
「え? あ、
「私ですか? 私は
「私は速水 咲夜って言います 」
小林先輩は俺たちに握手をして栗まんじゅうをバックからひとつ取り出した。 チラって見えたけどほんとに全部栗まんじゅうだったな……
「その制服、うちの制服ですね。 私、実は風紀会長務めてまして、もし風紀局に入る予定があったら優待しますよ 」
「「……え?」」
咲夜と俺は顔を見合わせた。 再び前を見た時にはもう既に彼は広場をおりた信号の先だった。
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