ep2 能力と都市

 また俺はほとんど寝て過ごした。 特急なので2時間程度で着いた。 俺の特牛めしセット(1498円)は何故か中身がなくなっていた。 おかげでおなかと背中がぴったりとくっついてしまったよ、どうすんだ咲夜。


「腹減ったなぁ、なんでかわかるか? 」


「さあ?私にはわからないわ 」


「じゃあそのソースなんだ、お前が買ったのは銀じゃけ弁当だろ。 ソースついてないはずだろ 」


「細かい男はモテないわよ 」


 咲夜はポケットからハンカチを取り出し口の周りを拭いていた。 ちなみにソースは初めからついていない。 だまされたなばーかばーか。 人がたくさん集まるところ、主に公共機関ではでは能力の発動を妨害する妨害電波ジャミングシステムのついたロボットがたくさん巡回している所もあるので基本的に能力を発動することができない。 同調する周波数の音を出して無効化アンチするか、周波を操る亜人でない限りは発動できない。 よってこいつは俺の心を詠むことは不可! ざまあねえ!

 駅を出るとレンガ調の広場に、銀色に光り輝く時計。 それともみの木が大きく手を振ってお出迎えしてくれていた。 広場にははしゃぐ子供たちや、待ち合わせをしていたカップルや学生らしき人も多く見える。 奥にはキラキラと明かりを放つ高層ビルが沢山立ち並んでいた。 本当にここは学校と言って良いのだろうか。


「広いわね、さすが学園都市とだけあるわ 」


「あぁ、駅にはうちの制服が何人かいたな 」


 スーツケースを持った生徒が何人かいた。 入寮は入学式の一週間前からなので、今日もチラホラと大荷物の人が見える。 例えば階段を、ゆっくり降りてるメガネ男子とかすごく荷物多い。 ……ってかあれ階段から落ちないか?


「そんなに心配なら行ってくればいいじゃない? 」


 咲夜は俺の顔色を伺いながら聞いてくる。 そんなの答えはただ一つだ。


「ちょっと手助けに行ってくるわ 」


 そういい、咲夜に荷物を預けた瞬間。 メガネ男子が階段を踏み間違えて体制を崩した。 彼の両手は塞がってる、それに背中にも大荷物だ。 下手したら怪我では済まない。

 ここから走っても間に合わない。 俺は手元で能力の発動を確認するが、あんまりうまく発動できない。 ならば……


抑制解除フリース 」


 俺は付けている拘束具腕輪の出力を切り、自分の能力を最大値まで解放する。 そして、彼周辺に能力発動のイメージを作って発動する。 出力は抑え目にしないと辺り一帯まで吹き飛ばしかねない。


「間に合うか……?! 」


 彼の周りにつむじ風が起こり彼をふわふわと浮かせる。 出力を調整し彼をゆっくりと地上に下ろす。 彼は大きく息を吐き出しまるで糸が解けたマフラーみたいに横たわった。 久しぶりに能力を解放したが、意外と腕は落ちてないようだ。 ふうっと一息ついて周りを見渡すと何人かが拍手してくれていた。


「うまくいったわね 」


「ああ、良かったよ 」


 拘束具を再び起動し、いつもの出力に下げる。 すると後ろからいきなり肩を誰かに叩かれた。

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