ep 1 駅と初めて
ん…… 頬がひんやりして気持ちいい、事故で亡くなったお母さんの手だ。 しかしその手は勢いよく振り上がったかと思えば俺の頬を思い切っり叩いた。
「いってえええ!!! 」
「起きなさい、終点よ 」
「てめぇ!何すんだよ!俺の可愛いほっぺたが! 」
「安心なさい、能力を使っただけよ。 なによりあなたの可愛いほっぺた腫れても悲しむ人は誰一人としていないから 」
彼女はふふっと嘲笑して降り口に歩いていった。 ちくしょう絶対復讐してやる。 洗濯に出した靴下全部裏返しにしてやる。
俺は密かに復讐を誓い、ダウンコートを羽織りスーツケースを持って電車をおりた。 降りると咲夜が柱のそばで待っていた。
「靴下を長持ちさせるには裏返して洗濯するといいらしいわね 」
「へぇ、そうなんだな。またお前聞いてたろ 」
そんな俺を無視して改札に歩き出した。
大都市とまでは言わないが棚沢市も中々大きい都市でここも能力都市として有名なところだ。 ここの池端大学附属高校と悩んでいたが、ランクも高かったのでやめた。 そういや咲夜はここの高校ですら余裕だったような…… 気のせいか、そんなわけないもんな。
「人多いわね 」
「お前の能力精神系だろ? 体調は大丈夫なのか。 」
「そうね、私は対象に触れない限り発動しないから。 例えるなら籠の中のフルーツを選ぶみたいな物ね 」
「分かりにくいな…… 」
駅構内にある駅弁からひとつ選ぶようなものだろうか。 いや俺もわからん。
エレベーターを待っている間いい例えがないか探していた。
「このエレベーター、能力式ね。 初めて見たわ 」
「ここも能力都市だからな、そこん所はちゃんとしてるんだな 」
電力より省エネで効率的な能力式、1度力を付与してしまえば、酸素さえあればエネルギ生成が出来る。 だが仕組みが複雑すぎてまだ試験運用なのと、高コストすぎるのが難点だ。
改札に磁力カードをかざし、改札を通り抜ける。 学園都市線と線路が離れているのでわざわざ1度抜けなければならない。 離れていると言ってもほんの数十メートルだ。
改札抜けてすぐ目の前に別の改札口がある。 改札の前には補助ロボットが『なにかお困り事がありましたらこちらまで』と繰り返し言っている。 ちょっと怖い。
券売機で磁気カードに行き先登録し終わり、そのまま改札を通ろうとすると
「あら、駅弁はいらないの? 」
さっきの話題を思い出したかのように訊いてきた。 こうゆうやつだ、仕方ないと思い諦めて無視をした。
「特急まであと1時間あるしな、やっぱり駅弁って大事だよな 」
駅にしか売ってないし、こいつの手のひらで転がされてるのも癪だし? そう思い、俺はくすくす笑う咲夜に荷物を任せて改札を出た。
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