君とこの世界で。

朝ドラ猫

Pr 能力と電車

 縦に揺れる電車は不思議と眠気を誘われてしまいウトウトしてしまう。 これはゆりかごの中の赤ちゃんのときを思い出すからなんだそうだ。 手元のスーツケースを撫でながら窓の外をぼんやりと眺めていた。


 現在時刻はちょうど朝6時を回った頃、家の近くの駅から30分くらいたった頃だろうか。 この後1度棚沢市で乗り換えて特急に乗らなければならないので始発に乗ってきたのだが、まだ1時間以上あるってまじかよ。


 今向かってる所は翔高しょうこう市、翔高学園が保有する附属都市だ。 50年前くらいに経済破綻した都市を国が買取り、再開発したのがこの都市だ。 翔高学園は国が運営する学園、すなわち国公立だ。

  大学や、高校中学小学だけでなくあらゆる学校がここに詰まっている。 もちろん居住区もあって、大都市東京にも劣らないと言える人口が住んでいる。


 翔高市に共通していえることはどの学校も体外能力キネシビリティ、通称:能力アビリティ に特化していて、あらゆる所に能力が使われているからだ。 体外能力が使えない般人ノーマルも沢山住んでいるが、多くは自分の能力を上げるためにきた亜人フィアースだろう。 俺もその亜人だ。 自分の力をもっと生かせるように、大切な人を守れるために学びに来た。


「自分語りで夢と希望でいっぱいね 」


 ふと隣から冷たく、どこか嘲るような口調で話しかけられた。 もちろん相手は分かっている。 同じ小学校、同じ中学校、そして同じ高校の幼なじみの女の子。 いや腐れ縁と言うべきだろうか。 精神メンタリズムに干渉する能力を使う速水はやみ 咲夜さやだ。 ちなみに全部同じクラスだ。


「お前…… それ知らない人にやったら傷害罪だからな、俺だから許してやる 」


「夢っていいわよね、いつまでも色褪せないわ 」


「あっ、お前絶対訴える。 名誉毀損と傷害罪と…… 」


「うるさい男は嫌われるわよ 」


 くっ、ぐぅの根も出ない。 変にこいつの気を起こして能力を使われたらたまったもんじゃない。 でも、こいつ能力を使わなくても言葉だけで精神崩壊させられるんだもんな凄いよな尊敬するわ。


「|義母おばさんがあんたのこと心配してたわよ、変なことしないようにすることね 」


「あーはいはい、そーでごさんすか。 」


 適当にあしらって再び窓の外を眺める。 相も変わらず低いマンションが外の景色を飾っているがそれももう飽きた。 海の上を走る特急に早く乗りたいと思いながら眠りについた。


『次はぁぁあしゅぅちゃくうぅう棚澤市いいぃぃぃい…… 」

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