第3話(前期) 私もこれからVtuber

私は他人と比べると何もかもうまくいかないほうだった。

何か一つ、飛び抜けているところがあれば、それに夢中になり充実した人生を送ることができただろう。私にはそんな『才能』がなかった。どんなことも私より遅く始めた人のほうがうまく、強くなっていく。そんな日々に絶望していた時、私は出会った。自分ではない自分を作り、偽った自分を見てもらい褒めちぎられる。偽るのは得意だ。外見が無駄にいいせいで周りから目を引き勝手な想像で私を潰しに来る。唯一の防衛手段は虚をつくことだけだった。それにVtuberになって有名になればより多くの人に注目してもらえて私一人では見つけられなかった他人より優れているところを見つけてもらえるかもしれない。

 だから私はVtuberになることを決めた。


~~~~~~~~~~~翌日~~~~~~~~~~~~~


そうと決まれば必要なものを集めないと!

Vtuberにはいろいろなジャンルがあるっぽいしいろいろ調べなきゃ!

「ええええええええ!!!!!!」


「高い!高すぎる!」


「パソコンだけでもこんなにするの!?聞いてないわよおおお!」


「パソコンだけで20万!?それにもろもろの機材にVtuberの体用意するだけで40万近くかかるの!?」


「Vtuberって金持ちのやることなの!?」


「はあ!?もおおおおおおう!Vtuberになりたいのにぃ!」


「ん?」

Vtuber募集の広告が流れてきた。


「私はなんて運がいいの!これだ!広告を見たら、もし合格した場合、パソコンを貸出しかもVtuberの体も会社側で用意してくれるっと」


「こんなの私のためにあるようなものじゃん!」


その会社はある有名な配信者と呼ばれる人が立ち上げたグループらしい。


どうもそこの一期生を募集しているようだった。


もし、合格すれば有名になれるのは間違いなし!


「早速応募しよう!こういうのは速さが大事だって誰かが言ってた気がする!」


「住所と本名、志望動機っとここまでは何も問題ないわね」


下にスクロールすると...


「特技......」


私の特技?...他人より優れている点...


ほかのところならスラスラ書けた。


だが、ここだけはそうもいかなかった。


だってないから。


私に他人よりここがすごいなんて言えるところが一つとしてないから。


私は自分でそう決めつけてしまっている。


考えることをやめた。


結局、他人より優れている点を探すためになろうとしたVtuberでさえ、特技が必要だった。


私は心底絶望した。


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