識織しの木

太陽には持てない色で光る海空気の音を聴き目をとじる


ふらふらと飛び見えるのは異国の地懐かしくあり幻影の身が


目を細めどうせおわりがあるのならふわふわ毛布にくるまれて去ぬ


本当の暗闇を見たい外からの野暮な光源落ちろブレーカー


俊足の神話ではない流れ星視界の隅にしゅるんと消えた


向こうには今なきものとこれからの遠いさだめが散らばっている


ぐるんぐるん回る朝来る夜が来るただそれだけを1日と呼ぶ


学舎を去って度々徒に思い出されるのキョウシツが


こんな日は眠れぬことを知っているやけに調子が良い秒針の


ここまでと決めてページを捲りゆくいつから夢になっていたのか


朝はもう来ないのだよと闇の中永遠のよな気がする深夜


の芝が眩く青く見え胸に醜き花が宿るのを知る


深海魚いるなら空にも棲んでいるいつか会えるのかもその何か


窓の外遠く光が駆け抜ける皆それぞれの今を生き抜く


電気などなくても光る生命はすぐそこにある 見えずとも鳴く


せかいとはひとつでないと星が言うしかし己は他の地を知らず


沈むなら二度と望みの降らぬようどこかにきっと酸素があれど


目を閉じた表は今も進みゆく見ていなくとも進む世の中


ニンゲンは夜行性ではないのだと極彩色のシュガードリンク


更けてゆく夜の終わりをいつだって見もしなかったことの後悔




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