第2話

『外7班、1班に合流しました』


 全体に指示を出してから30分ほど経った時、外の探索をしていた班の1つが基地を見つけた班に合流した。


 この基地の周辺以外には何もなく、ただの荒野が広がっていた。


「1班、内部の状況は?」


『入口から音波測定などをした結果、中には生体反応はなく、ところどころにトラップが仕掛けられているだけでした。

 入り口に近いところのものは先に外しておきました』


「この回線を繋げたまま、1班が先行して中に入れ。

 少しでも怪しいもの、ところがあればすぐに報告しろ」


『了解』


 途中に仕掛けてあったトラップも簡単に解除して奥の方に進んでいく。


 途中にはパワードスーツローパーの充電設備があったと思われるところや、廃棄された部品置き場などがあった。


 どの部品も高価ではあったものの、一般金持ち達に流通しているものであるため、これだけで誰がいたのか特定するのは不可能だろう。


『一番奥に到着しました』


 特に気になるものも無いまま、基地の一番奥に着いてしまった。


 残っていたものは彼らからすればすぐに手に入れることができるものばかりで、なんの情報も得ることはできなさそうだ。


「なにか気になることはあったか?」


『いえ、何も。

 このまま帰ろうと思います隊長!こっちを!


「なにか聞こえたが、どうした?」


『確認してきます』


 兵は部下の声が聞こえた方へと進んでいく。


 本部に送られてきた地図情報と照らし合わせると、兵たちがローパーの整備場所らしきところに集まっている。


『どうした?

 ………なるほど。

 本部、この先に生きてる施設があるようです。

 もしもに備えて専門の突入部隊の派遣を申請します』


 通電しているのであれば、中になにか手がかりがあるかもしれないが、彼らの荒野戦用の装備では解除できないトラップがあるかもしれない。


 専門の部隊が突入すべきだが、その部隊はすべて施設内に入っている。


 呼び戻すとすれば、帰ってくるまでにそれなりに時間が掛かるだろう。


「そのまま、お前たちで突入しろ」


『我々だけでは危険すぎます!

 専門のチームを』


「7班にはそういうのに詳しい人員がいたはずだ。

 そいつにやらせろ」


 たしかに、詳しい人員はいた。


 しかし、詳しいと言っても実家が電気系の仕事をしているだけであり、今回のような場合に使う専門的な知識を持っているはずもない。


『僕にはそんなことできません!

 たしかにこういうことには詳しいですが、ここまでのことは』


「いいからやれ!指揮官命令だ!」


 声を荒げて指示をする。


『……わかりました』


 渋々、そして諦めた様子で返事をした。




 数分後、扉は開かれた。

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