第3話

 扉の先には1つの部屋があった。


 部屋はちょうど真ん中に仕切りがおいてあり、入って右側には何枚かのモニターが、左側には少し高そうな椅子やパイプベッドなどが置かれていた。


 扉にはしっかりとした防音処理が施されており、作業場でなにか作業をしていても音は全く入ってこなかっただろう。


「本部、中に入りました。

 電気は来ているようですが、記憶媒体などは無いようです」


『他に探せるところはないんだ。

 隅から隅まで探し切れ』


 指揮官は焦っている様子で指示をする。


 彼らはまず、モニターがある方を調べ始めた。


 机の上にはいくつものメモが残されているが、「いも、にんじん、にく」や「1日=18時間?」などのような意味のなさそうなものばかりだ。


 机の下にはちょっとした空間があり、周りのホコリの様子を考えると、そこにコンピュータが置かれていたようだ。


 残っていたのはモニターの数と合わない量のケーブルといくつかのネジ、それとホコリだけだった。


 他には椅子くらいしかここにはなかった。


「こっちにはなさそうです」


「あっちを探すぞ」


 今度は高そうな椅子があった方を調べる。


 椅子以外には机やタンス、パイプベッドがあり、机の上にはお盆とコップが置かれている。


 ベッドには布が被せられていて、その布が人1人分は膨らんでいた。


 事前の調査で生き物はいないと分かっていたが、ロボットならば動き出すかもしれない。


 1人が銃口を向けながら、他の兵が布を一気に剥がす。


 そこにあったのは1人の女性の体だった。


 見た目は10代後半で、髪はブロンズ、ベージュ色の肌で腕を見るとそれほど筋肉はついていないように見える。


 全く動き出す様子はない。


「これ、タブレットじゃねえか!」


 机を調べていた兵が叫ぶ。


 手にはお盆……のようにデコレーションされたタブレットがあった。


 電源はついているが、パスワードがわからない。


「外1班から本部

 タブレット端末、及び女性の死体らしきものを発見した。

 どうすればいい」


『タブレットはすぐにもってこい!

 死体は数人で抱えて持って来い』


 まずは死体を運ぶことから始める。


 背に乗せるために1人が持ち上げたと同時に、死体が動き出して体に巻き付く。


 そして爆発。


 火がホコリに燃え移り、ケーブル導火線にまで火は届き、部屋と基地にまんべんなく置かれていた爆弾に引火し、基地はすべて吹き飛んだ。

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