第7話
『隊長、
子供部屋に戻る途中、基地待機組から連絡が来た。
今回の作戦は数ヶ月前から決まっていたものだ。
しかし、その作戦の指揮官はこの国最大の犯罪組織と繋がっていると噂されている人物で、この作戦がうまくいけば国の政治に関われる立場になってしまう。
それを危惧した者たちによって傭兵が雇われたのだ。
「時間通りではあるな。
突入まではあとどれくらい」
『あ!
あいつら、
一時間以内に突入してくるかと!』
事前に渡された情報とここの地図を考えると、子供部屋に行って基地に戻るまでちょうど一時間ほどになりそうだ。
「急ぐぞ」
少し駆け足になりながらも子供部屋に向かう。
到着すると、部屋の前には人二人が乗れそうな組み立て式のリヤカーが用意されていた。
あとは持つところの固定だけのようなので書類を荷台に置いていく。
「このあとはアイシャを保護したあとはすぐに出発する。
荷台にはまだ余裕があるからそこに乗せて連れていくぞ」
隊長は何人かの隊員と共に近づいていく。
部屋に近づくと、中から足音が聞こえてきた。
もしもの時に備えて麻酔銃をかまえる。
「バッタさn」パァン
後ろから乾いた音が聞こえ、アイシャの脇腹は赤く染まっていく。
「行け!」
言葉を喋っていたので少なくとも理性は残っているのだろうが、撃たれたあとではパニックになっているだろう。
遠くに逃げられる前に捕まえなければいけない。
「過集中状態と同じように対処しろ!」
数人でアイシャを押さえつけ、首筋に注射型の睡眠薬を打ち込む。
そうして落ち着いたアイシャに止血処理を施すように言った後に、撃った張本人に話を聞く。
撃ったのは子供達の暴走の中から生き残った隊員だ。
彼は撃った瞬間に後ろにいた隊員によって彼は押さえつけられていて、何かに怯えているように見える。
「なぜ撃ったんだ?
こっちに話しかけてきたんだから安全だったはずだ」
「そんなの、わかってたんですよ。
けど、さっきのことを、思い出したら、体が勝手に。
それに、さっき写真で、あの子供達を見ても、同じことが」
何かを思い出しながら、それに怯えながら答える。
「そうか」
隊長は銃を取り、彼に向かって発砲する。
撃った弾は装備の隙間を通り、体に刺さる。
「隊長!
書類と遺体、それとアイシャの積み込み、完了しました!」
「こいつも積んでくれ。
積み終わったらすぐに出発だ」
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