第2話

『外に出る日が決まったよ。

 三日後に入って行くからちょうど12時くらいに食堂に着くんじゃないかな。

 それと、その日まではここに来ても話せないと思うから気をつけてね』


 マイクとボイスチェンジャーを使ってバッタの声でアイシャに話しかけたあと、バッタを充電ゾーンに移動させる。


「これで・・・よしっと 」


 バッタが充電され始めるのを確認して、彼は椅子の背もたれに身を任せて大きく伸びをした。


「お疲れ様です、隊長」


「おう」


 部下の一人がコーヒーを持ってきた。


 隊長はそれを受け取って一口飲む。


「こんなに早く突入できるとはな」


 この部屋は通信のために防音をしっかりしてあるためとても静かだが、扉を開けるとその先では工具の音がそこらじゅうから響くとてもうるさい空間になる。


 つい先ほど、軍から支給された装備が到着したところなのだ。


 軍からの支給品といっても、軍からすれば型落ちの不用品だ。


 しかし、傭兵たちのような一般人からすれば最新のものであるため、このような旨みこそが軍からの依頼の良いところだ。


「体格に合わせるための調整は全て終わり、今は各種装備の取り付け作業中です。

 だいたい10時間後に作業は完了する予定です」


 コーヒーを持ってきたの隊員はお盆トレイの代わりにしていたタブレット端末で確認しつつ隊長に報告をする。


「今は10時か。

 明後日の10時に突入予定として、作業後は明後日の8時までを自由時間とする。

 十分に睡眠をとっておくように伝えておいてくれ」


「了解しました」


 隊員は空になった隊長のコップを持って部屋の外に出た。


 扉が開いていた一瞬、外の騒音がこの部屋にも流れてきたが扉が閉まるとすぐに静かになった。


 アイシャには3日後のお昼に突入すると伝えているので、明後日の10時に作戦を開始しても8時間程が余る予定だ。


 8時間もあれば資料の回収と職員のも終わらせられるだろう。


「アイシャたちを俺らで保護するなら車が必要だな」


 そういうと隊長はどこか宛のメールを書き始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る