第4話
目が覚めた時、目の前には星空が広がっていた。
最初、自分がどこにいるかはわからなかったがいつもの星空の部屋だと気がつくのにそれほど時間はかからなかった。
頭が少し痛いのを我慢して立ち上がり、鞄を持ってもとの部屋に戻ろうとする。
この部屋を出る前に、バッタを持って行こうと思って足元を探したが、見つけることはできなかった。
廊下に出ると天上の照明は全て消えていて、床近くにある赤い非常灯だけがついている。
普段とは違う様子なので、アイシャは朝よりも更にゆっくりと進んでいく。
そして、部屋に近づくにつれて嫌な匂いが強くなっていった。
金属の匂いや、何かが燃えた匂い、そして、『運動』の時間にたまに流れてくるとても重くて甘い匂い。
頭は部屋の中を見てはいけないと叫んでいるが、どうしても体を止めることはできなかった。
部屋の中は静かで、ところどころが黒く、あるいは赤く染まっている。
そして、暗い部屋の端には赤黒いものが積まれてあった。
近寄って見てみるとそこには人が積まれてあった。
「I-7、どうしたの?
そんなに体が冷たかったら風邪ひいちゃうよ?
それに、こんなに体を汚したら怒られちゃうでしょ」
そう言いながら、アイシャはI-7をしたいの山から引っ張り出して布団の部屋に
いつもアイシャたちが寝ている部屋はそこまで荒らされておらず、それぞれのベッドの下に大きな窪みができている以外にはそんなに変化はなかった。
「他の子達も連れてくるから、しっかり寝てね」
I-1からI-16を運び終わり、つぎの子を山から引っ張り出そうとしている時、廊下からいくつかの足音が聞こえてきた。
暗くなっているために壁の時計をみることはできないが、おそらくお昼は過ぎているのだろう。
アイシャは外からきた人だと思って廊下に近づいていく。
廊下に近づくにつれて金属と金属がぶつかる小さな音も聞こえ始めた。
「バッタさn」パァン
アイシャが廊下に出て話しかけた瞬間、廊下の先にいた相手からは何かの音が聞こえた。
相手は黒い筒状の、『運動』の時間で使っていたものに似たものをこちらに向けている。
右の脇腹のあたりに痛みを感じ、そこを見てみると服が赤く染まり始めていた。
アイシャ自身はこれが何かはわからないが、このままでは取り返しがつかないことがわかる。
掴もうとしてくる腕の防具を、近くにあった筒を
「やめて!離して!」
首のあたりにチクッという痛みを受けて、アイシャは眠りに落ちていった。
完全に意識を手放す直前、「すまない」と聞こえた気がした。
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