第3話
「うん、これならちゃんと計画が立てられるね」
初めてバッタに会ってから十数日後、アイシャはいつものようにあの部屋に来ていた。
初めて会った日以外にも何回かここに来てバッタと話したりしており、そのときに地図以外の必要なものも伝えられていた。
そしてこの日、その必要なものが全て揃った。
「しかし、これだけよく集めたね。
誰かに手伝ってもらったのかい?」
「ううん、私一人で集めたの。
元々、隠れたりするのが得意だったから簡単だったよ!
それに、みんなをビックリさせたいから秘密にしてたの」
「へぇ、秘密にしてくれてたんだね。
けど仲のいい子たちには外に出る日の朝に伝えておいてくれるかな?
いきなりだとみんなびっくりしちゃうからね」
そこから数日後、アイシャはまた部屋に来ていた。
「外に出る日が決まったよ。
三日後に入って行くからちょうど12時くらいに食堂に着くんじゃないかな。
それと、その日まではここに来ても話せないと思うから気をつけてね」
「うん、わかった!
バイバイ、バッタさん!」
アイシャはそう言うといつものところから帰っていった。
バッタはアイシャを見送ってから草むらの中に入って行った。
〜そして三日後〜
「I-7、I-7、起きて」
「まだ時間じゃないじゃん。
もっと寝させてよ」
そう言ってI-7はもう一度寝ようとする。
「今日は特別な日でね、外から人が来るんだって。
それでね、外に連れて行ってもらえるらしくてね、今日は早めに起きて準備しようと思うの」
「外から人が?
そんなの嘘よ嘘、来るとしても何でI-3だけが知ってるのよ。
待ってたらいつかは外に出してもらえるんだからすぐに出なくてもいいんじゃないの」
I-7は聞く耳を持たずにもう一度寝てしまった。
こうなってしまってはもう起きないだろう。
アイシャは諦めて自分だけで行動しはじめた。
自分の古い服をで作った鞄を背負って、誰にも見つからないように部屋を出る。
普段とは違う時間帯に部屋の外に出るため、アイシャはいつもよりもゆっくりと進んでいく。
いつもはすぐに開けることができる自動ロックの扉も開けるのに時間がかかってしまった。
いくつかの扉を開け、監視カメラを避けていつもの星空の部屋の前に着いた。
鍵を開けて中に入ると、そこは真っ赤な空が広がっていた。
燃えているような赤さをしているが、これが朝焼け、あるいは夕焼けと呼ばれているものだろう。
その光景を楽しみながらこの部屋に持ってきていたものを回収していく。
地図や服、そして少しの食料と水。
他に忘れているものがないことを確認していると、足に何かがぶつかった。
そこをよく見てみると、あのバッタがいた。
下には何かの円盤が設置してあり、その円盤を中心にして20センチほどが周りから見えづらくなっている。
もしかしたら話せるかも、そんな考えと共にアイシャはバッタを持ち上げる。
すると、バッタの口がガコンと開き、そこから薄紫色の煙が出てきた。
突然のことであったためアイシャは避けることができず、その煙を吸ってしまう。
そしてすぐに、その場で倒れてしまった。
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