第53話 『地球の正義』 その5


 いまや、なぜだか丸裸になった惑星『大地』は、『われわれ』の母星である。


 ホモサピエンスと、いわゆる、ネアンデルタール人が併存していた時代には、こんな感じで太陽を挟んでほぼ同じ軌道を公転していたのだろう。


 しかし、当時はまだ、ホモサピエンス側に、科学的な観測技術はなかった。


 しかし、きっとなんらの観測もしていなかったわけではないだろう。


 天気が悪くなければ、毎晩みえる星空を、観察しない方がおかしいと言うべきだ。


 だから、星に関する様々なことを知ってはいたろうが、反地球を知っていたかは、さすがに分からない。


 たぶん、超新星爆発とかの、貴重な天体現象だって、色々と見ただろう。

 

 ネアンデルタール人も同様に。彼らが、文明とまでは言えなくとも、文化を持っていたことは間違いない。


 石器を作り、狩をし、調理をし、航海をし、また実際に洞窟に残されている、ああした絵画を描いていたのかもしれない。


 彼らが生きていたのは、4万年より以前までであるとされている。


 しかし、いくらなんでも、反地球まで宇宙旅行したなんていうのは、オカルトを飛び越えてしまっている。



 ぼくは、当然そう思うのであります。



 しかし、自分の置かれた境遇、周囲の妖しいものたちの存在は、『われわれ』の実在を示していたし、プリンさんが現れ、あっちの世界に行き、さらに、ナンバー8なんて存在が出てきたら、さすがに、否定のしようがない。


 ただ、ぼくは、『われわれ』は、小さなブラックホールみたいな場所に住んでいると聴かされてきた。


 それは、嘘だったわけだ。


 不可思議な宇宙船みたいなものを持っている。というのは、間違ってはいなかった。


 しかし、反地球が、なんらかの方法。あるいは現象により、ある意味、ブラックホールみたいに地球からは見えない、観測できない、なにかに成っていたのなら、多少の事実だったのかもしれない。


 しかし、『われわれ』が、なぜ。どうやって、地球から脱出したのかは、まだ、わからない。


 『われわれ』の王宮は、それらを、説明するだろうか。


 『現れた新型惑星から、中継が入ります。』


 担当官が言った。


 みなが、スクリーンを注目した。


 


 

 


 

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