第52話 『地球の正義』 その4


 『誤解されては困るが、われわれは、え、つまり、われわれも、われわれ、われわれの末裔も、地球を征服しようとか、破壊しようなどと考えてはいないのだ。』


 議長が付け加えた。


 『え? そうなの? うそだろ。さかんに後継者たちに対して、いまだ、打倒地球と言っていると聴くがな。』


 と、わが、ボスが意地悪く言った。


 『それは、つまり、昔からの、スローガンだべ。経営の理念みたいなものだからして。』


 『十分、真実だ。』


 『まてまて、おふたり、和平を話し合うんだろ?』


 リーダーが割って入った。


 『さよう。ぜひ、そうしてほしいですな。ナンバー8さんは、聴いているのか?』


 首相が、ようやく、落ち着いて話しを進めようとした。


 スピーカーから声がした。


 『失礼した。聴いている。ぜひ、和平を成したい。』


 『ほら、われわれの、幹部がそう言うんだから。』


 また、リーダーが畳み掛けた。


 『自分としては、まず、プリンさんの無事を確認したい。』


 ボスが言った。


 ナンバー8の声が答えた。


 『われわれの王宮と、中継をつなぐ。史上初のことだ。第1王子さまが、あなた方と、直にお話をなされるそうだ。』


 それは、まさしく異例なことだ。


 『われわれ』の王室は、地球人を対等には見ていない。


 例え、映像であれ、王室が地球人と対面するというのは、まったくあり得ない話だった。


 しかも、第1王子が、である。皇太子だ。


 またとない、チャンスである。


 しかし、王子というのは、どういう姿なのだろうか。ぼくも、まったく、判らないのだ。


 議長さんが、驚きのあまり、もう、口が塞がらなくなっている。


 ものすごく、緊張しているのが、手に取るように判った。


 この人は、命が掛かってきているのかもしれない。


 

       ((😖))


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る