第51話 『地球の正義』 その3
地球の、われわれ、食べる側の議長が、ようやく、口を開いた。
『あんたがた、ふたりともなかなか言わないから、まあ、こういう場だからして、わたしが言おう。あれは、われわれの母星、母なる惑星、大地である。地球は、父なる惑星である。』
『あーあ。言っちゃったな。』
ボスが、呆れたようにつぶやいた。
リーダーは、手を組んだまま、うなづいた。
『まあ、首相閣下に、また、副議長閣下に、失礼があってはなるまい。長官どのにもだ。われわれは、和平を求められている。ナンバー8は、ここでの姿を維持できなくなった。しかし、連絡は取れる。また、プリンさまは、召喚された。われわれ、の、王宮に。』
『なんと?』
ぼくは、思わず叫んでしまった。
『ばかもん、これは、きみごときが、口をだすことではない。』
議長が、突き刺すように言った。
やはり、やなやつである。
『まった。やれやれ、仕方がない。』
ボスが立ち上がった。
『議長さんの勇気と決断は認めるとして、しかし、あんたは、ごとき、というが、プリンさんの面倒を見ていたのは、彼だ。まあ、あなた方には、犯罪者だろうがな。しかし、聴くところでは、あんたは、むかし、プリンさんに世話になったはず。違うか?』
議長は、横をむいて黙ってしまった。
リーダーは言った。
『うんだ。確かに、微かな記憶では、議長さんは、プリン王女の側近の一人だったはずですな。部下ですな。今風に言えば。』
『すでに、立場は変わったのです。』
議長が、下手な言い訳をした。
『さよう。しかし、また、立場は変わるかもしれませんぞ。』
ボスが議長を指差した。
『立場ならば、それも、覚悟であろうな? 議長さん。』
『無論だ。』
『よろしい。さすがだ。いずれ、彼は貴重な参考人です。ごとき、ではない。違いますかな? 長官?』
じょうめが、臆することなく、すぐに言った。
『言葉の使い方は、慎重に願いたい。』
『わかりました。長官どの。本題を話し合いたい。』
なるほど、そうなのだ。
理屈はさっぱり分からない。しかし、惑星大地、は、次元の狭間で隠されてきていたが、送り届けられた、特殊ならーめんによって、その隠れ蓑が効かなくなった。
裸にされたのだ。
ならば、地球が、もしいま、持てる最新兵器で攻撃したら、さすがに危ないと見たに違いない。
じょうめは、当然理解しただろうが、衛星は連合のものだ。
『副議長閣下。その探査衛星には、武器はあるのか?』
議長が、率直に尋ねた。
『秘密事項です。ま。しかし。長官どの?』
なぜだか、じょうめが立ち上がった。
『あの衛星の武器は、わが国が、連合から委託されて、開発しました。地球サイズの惑星なら、大陸ひとつくらいは、瞬時に焼き払えます。それなりの抵抗がなければですが。ただし、どの衛星に搭載されているのかは、また、ひとつかどうかは、知りません。』
なんと、そんなことを、国民に秘密にしていたのか。
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