第49話 『地球の正義』 その1
『これは、どういうことかな?』
リーダーが、ドスの効いた、しかし、小さな声で言った。学者っぽくない。
『なに、解決の始まりだろ。』
わが、ボスが、何時ものように、とぼけたように言った。
議長は、まだ、なにも言わない。
『あなたがた、各本部を和平に引きずりなさい。』
じょうめが叫んだ。
『なんだか、まだ、良く解らないが。それしかないと、推察します。プリンさんは、たぶん、事実を述べたのです。もし、争いを続けるなら、へたしたら、終わりかもしれませんよ。いや、最大の、へたしたら、地球と心中かも。』
首相が怒鳴った。
『地球は、不滅なり。』
『なら、いいがなあ。地球連盟各国は、最近ナショナリズムに偏っているし。』
地球連盟副議長は、芸術家でもある。独特の捉え方をしていて、連盟議長は信頼をしていた。
『首相。あなたが考えているより、状況は良くありません。『われわれ』は、『食べる側と食べられる側』に分かれて争ってきましたが、『食べる側』は、前国王派と現国王派とが分裂していて、前国王派は、各派閥に複雑に入り込んでいる。さらに、互いが地球に工作員を送り込んでいて、この皆さんのように分かってる人達もありますが、かなりは、誰が何処の派閥か、はっきりしない。いや、スパイかどうかさえ解らないし、おそらく、内部は複雑怪奇。全てを解っている人がいるのかどうかさえ、怪しいくらいです。しかも、どうやら、『われわれ』各派閥も、『地球』も、なんらかの最終兵器を持っている。これは、つまり、全体的に危機的な状態のクライマックスですよ。唯一の解決の方策は、全員がいま、和平を希求して、そのために動くしかない。というわけなのです。』
『きみの、演説は有りがたいが、そう簡単ではない。』
首相は、あっさり、切り捨てた。
『なら、話し合いましょう。ここで、これから。』
まさに、そのタイミングで、情報が入ったのである。
『地球軌道探査機が、太陽の反対側に、惑星が出現しつつあるのを発見、との報告が、地球宇宙機関から来ています。』
複数の地球軌道探査機が中継してきた映像が、会議室の大プロジェクターに映し出された。
『反地球だ!』
議長が、目一杯、不気味に言った。
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