第44話 『われわれの正義』 その11


 そこに、わが国首相がやってきた。


 どうやら、地球政府=新国際連盟は、ここを窓口と決めたらしい。


 よくある、パターンである。


 作者の都合でもある。


 しかし、これでは、新しい時代を切り開く会議にはならないだろう。


 当事者が、足りないのだ。


 『われわれ』の主権を維持している、『食べる側』の代表がいない。


 いやまて、ぷりんさんは、本来『食べる側』の王女さまだ。


 また、この席でも、半円の大きな座席場所が2つ向かい合っていて、ちょっとだけ間が開き、中に入れるようになっていて、内側に書記席がみっつあるが、全体が円形になっている


 しかし、ぷりんさんには、円から外れた場所に、やたら、豪華な席が設けられていた。犯罪者として追放されたんだから、力はあるまいが、そこは、王室の端くれだからだろうか。


 ならば、じょうめか。


 しかし、じょうめは地球人だろう。


 役不足である。


 ああ、けれども、そんなぼくは、甘かったのだ。


 『食べる側』は、古くは地球生物ではあるが、もはや、本来の3次元生物ではない。


 ぷりんさんは、3次元に脱落させられているが。


 かれらは、4次元以上の存在だ。



 この中での、最高位は、首相さんらしい。


 たしかに、国家元首であるからな。


 次は、連盟のナンバースリー。


 このふたりが、半円のたぶん上座側に並んでいて、一番左側が空いていた。


 そうして、やおら、そこに、赤い色の、触手みたいなのが現れて、さらに、形や色が次々に変わりながら、やたら揺らめいていた。


 それから、触手みたいなのに口が開いて、しゃべったのである。


 『みなさん。おまたせしました。わたしは、『われわれ第2議長のナンバー8』であります。『われわれ』を代表して参りましたべら。ぜひ、和平を達成したいべら。』


 ナンバー8、ならば、文字通り、『われわれ』の席次8番目ということで、間違いない。


 これは、微妙なことだ。


 地球政府側は、ナンバー3が出てきている。


 さらに、仲介役になったらしきわが国の、ナンバー1が出てきている。


 『われわれ』の認識は、そのあたりなのか?


 しかし、『われわれ』のナンバーワンは、王である。


 ナンバーツーは、王妃、ナンバースリーは、第1皇太子。ナンバーフォアは、第2皇太子。ぼくが知ってる範囲では、あとひとり、第1王女がいたはずだ。それが、ナンバーファイブだろう。


 だから、エイト、ということは、王室外では、事実上第2位か第3位、とみてよいだろう。けっして、甘くみてはいないということになる。



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