第40話 『われわれの正義』 その7


 『じゃあ、説明してくれますか?』


 ぼくは、じょうめに迫った。


 『地球政府が、そう望んだのです。』


 地球政府というのは、かつての『新国際連合』が発展的に形成したものだ。


 ただし、必ずしも、地球政府とは言えないところも多い。


 参加していない大国がふたつある。


 そちらは、『新国際連盟』を作っていて、その参加国は少ないが、力はある。


 まあ、早く言えば、名前を変えて、中身は減量したお菓子、みたいな感じもある。


 しかし、それでも、地球政府を名乗ることになったのだけでも、進歩とも言えた。


 もし、宇宙の勢力が地球と接触を試みるならば、まずは、多数派の『地球政府』と対峙すべきなのは明らかだから。


 しかし、この場合は、どうなのか。


 『地球政府は、『われわれ』を、敵性地球外生命体と認識しています。わが、ニホン政府は、どちらかというと、中立派ですが、地球政府の構成員でもあります。あなた方を拉致にかかったのは、地球政府です。いち地方政府には、阻止は、できない。残念です。あの副官さまは、地球政府側です。』


 『はあ。まあ、立場が錯綜してますな。』


 ぼくは、わりに、素直である。


 しかし、ふみたいは、違う。


 『冗談じゃないわ。あなた、長官でしょ。地方新聞の朝刊じゃない。ここならば、逆らえるはず。それとも出世の邪魔?』


 『ふみたいさんが言うのは正しい。でもね、わたしには、たくさんの部下がいる。へたに動くと、その人たちの生活に関わるの。ひとりの正義だけでは動けない。』


 『あなただけが、関われば、いい。』


 じょうめは、笑った。


 『たしかにね。』


 じょうめには、なにか、策があったのかもしれない。


 ぼくは、ふと、そう、思った。


 『まあ、でも、謝ります。たしかに、甘かったかもしれない。地球政府大統領の真意を、見誤ったかもしれない。かれは、熱心な平和主義者だとおもったが、意外と、そうでもないかもしれないなあ。まさか、あんな、襲撃をするとは、おもわなかった。ねらいは、ぷりんさんかもしれない。あのひとは、何ですか?』


 じょうめは、率直に尋ねたのだと思う。




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