第39話 『われわれの正義』 その6


 ぼくたちは、じょうめの執務室に、直接到着したのであった。


 じょうめは、あっけにとられたが、先に、副官がすぐに反応した。懐から、最新型光線銃を取り出したのだ。


 『まちなさい。動かないで。』


 じょうめが、彼を制した。


 『不法侵入です。』


 『ばかね。約束の時間よ。』


 『しかし、内閣官房長官の指示です。』


 『あたしは、いま、首相の同意をとりつけました。』


 副官が、動きを止めた。


 ぼくは、言った。


 『あれは、なんなんだ。説明してほしい。』


 『あれ』、と言っても、ぼくたちは、体験してはいない。話を聴いただけだが。


 『わかった。あれは、あたくしの意思ではない。これは、本当です。な、な?』


 ぼくたちには、警備ロボが付いてきていて、段々に、数を増やしながら現れれ出たのだ。


 『なんだ、君たちは?』


 副官が詰問口調で叫んだ。やはり、やなやつだ。


 『やめなさい。見苦しい。』


 じょうめが、一喝した。


 『み、み、み…………ぐ………』


 副官は、やっとのことで、自制したようだ。


 『かれらは、『われわれ』の、食べられる側の警備ロボたちです。


 じょうめが、不思議そうに尋ねた。


 『プリンさんは?』


 『危なさそうだから、隠しました。』


 『あ、そう。いいわ。お座りください。まずは、落ち着きましょう。あなたは、出てゆきなさい。』


 『で、で、で…………』


 副官は、不服そうにしながら、しかし、じたばたと、部屋から退出した。


        🚪


 


 


 

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