第34話 『われわれの正義』 その1

 

 そこは、まったく普通の、いや、極めて良くできた応接間だった。


ただし、じょうめの執務室のとなりの、やや牢屋に近いみたいな、ああした部屋では、まったくない。


 ひどく、まっとうな応接室である。


 緑色に近い、明るい紺色の、見事な応接セット。


 壁には、やや小ぶりの、上品な絵画が掛かっている。


 よくは分からないが、コローの風景画みたいなものだ。


 やたらに、形が崩れかけらしき、ちょっとシュールな壺に、ぼくには分からない花が活けてあった。


 さらに、丁度良い位に前衛的な電話機。


 シャンデリア風な、しかし、行き過ぎのない、大きめの蛍光灯。


 『感謝状』と大きな文字で書かれた表彰状。


 発行者は、地球内閣総理大臣『武田信長』と、書かれていた。


 でかい、印が押されている。


 宛先は『我々太郎姫殿』

 

 『なんだか、笑ってしまいそうだな。』

 

 『ものすごく、真面目に作ってるよ。根性入ってるもの。』


 ふみたいが、やけに味方するように言った。


 プリンさんは、怖がっていた割には、面白そうに周囲を見回していた。


 応接テーブルは、見た目、相当立派な木材を、まるごと切り出したように見えた。


 おそらくは、10分くらい待たされたような。


 しかし、このくらいが、呼び出されて待たされる身には、丁度良いくらいである。


 これ以上長くなると、腹が立つ。


 短いと、やや、焦ってしまう。絶妙である。


 それから、なかなか立派な扉が開いて、良い仕立てのスーツに身を包んだ、上品な、初老の男性と、その、なんとなく秘書、のような雰囲気の美しい女性が現れた。紫色の魅力的なスーツ姿である。


 ぼくとふみたいは、立ち上がり、プリンさんをも、ひっぱり上げた。


 『お待たせいたしました。こんいちは。わたしは、『われわれ国』、総務大臣、カン・タロウ。こちらが、大統領の、マダム・オケラです。』


 男性が言った。


 『大統領さま?』


 ぼくと、ふみたいが、同時に言った。


 『まあ、そうです。われわれの、代表であじます。はい。』



           🚩

   


 

 

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