第33話 『宇宙』 その3


 ぼくたちは、その、床も天井もない『リムジン』に乗って、ひたすら変転を続けて、まったくとどまることのない不可思議な空間を、おそらくは、移動したのだ。


 空間が定まらない場所で、移動するという概念が生ずるのかは、分からないと言えば、たしかに分からない。


 しかし、乗り物に乗ったのならば、そうではないかと、思われたのだ。


 ここが、いわゆる異次元空間で、三次元ではないのならば、三次元の生き物には、そもそも、理解ができない場所だろう。


 二次元生物には、ほくたちの存在は極めて不可解だろうが、もしも、意思の疎通ができるならば、ある種の補完は可能かもしれない。


 だから、ぼくたちが、この、床や壁の見える場所に運ばれたのは、たぶん、そうした、意思の現れなのだろう。


 彼らは、話し合いを求めている。


 『食べるつもりでは、ないみいね。』


 ふみたいも、そう、言ったのだ。


 『食べないよ。普通は。』


 プリンさんが、追加してくれた。


 普通は、というのは、よく分からないが、普通であることを祈るしかない。


 人類だって、いざとなったら、共食いを、やらないわけではない。


 そうした実例はある。


 しかし、この場合は、共食いではないのかも知れないが。


 未知の相手なのだから。



      👽️ ? 👾 ? 

 


 


 

 


 


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る