第25話 『再会は楽しくないのが普通』 その1
じょうめは、あまり変わらない。
と、いうわけには、ゆかなかった。
高校生時代以降、会っていないわけだから、あたりまえだ。
それに、環境は人を変えるものである。
『きみ、変わらないなあ❗』
と、言われるのは、だから、ある意味、恥じかもしれない。
『久しぶりです。あなた、変わらないですねぇ。』
じょうめは、明るくそう言って、握手を求めた。
じょうめと握手なんて、したことがない。
こうしたものが、公のやり方なのだろうか。
ぼくは、このような習慣はないが、かつて、会社勤めをしたから、まったく分からないわけではない。
すぐ脇に、先ほどの、かなり長身の男性が立っていた。
ボディーガードかしら?
と、思ったら、じょうめがその人に向かって、こう言った。
『補佐官、この方は、幼なじみなのです。わたしの、初恋の相手ですよ。』
『わ! ほんとですか? 長官に初恋があっのですか。』
見た目、いかにも無愛想な感じの、補佐官と呼ばれた男が、ひときわ、ずっこけた。
『まあ、失礼な。そんな言い方、ないでしょう。』
『いや、失礼しました。ははははは。』
『その代価に、あなた、出ていってもらえますか?』
『いや。そうれは、職務怠慢かと。』
『そんなこと、申しませんから。』
『そうですかあ。』
その補佐官は、しぶしぶ、頭を下げて、部屋から出ていった。
やはり、じょうめは、偉いのだ。
あとには、じょうめ、とぼくが、ふたりで残されたのである。
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