第24話 『何があったか』


 あのあと、である。


 プリンとともに、ホテルに匿われたあと。


 ぼくは、ヘル・ジーに連絡した。


 彼は、アパートのオーナーで、つまり、ぼくのボスである。


 なにものかさえ、分かってはいない。


 大企業のボスか、ギャングのボスか、はたまた、ひまな隠居か? 宇宙人か?


 短時間の日帰りの外出は問題にならないが、一晩中アパートを開けるとなれば、やはり、無許可では職務放棄、よくて、怠慢とされかねないのであるから。


 会ったことはなく、メールか電話連絡だけだ。


 ただ、メールでは、ちと、心細い気もした。


 ヘル・ジーは、つまり、父親代わりというような側面があったからだ。


 電話は、夜間なら、何時でも良いと言われていた。


 『なるほど。よいよい。しっかり、匿われてください。』


 との返事がきた。


 実に的確で簡潔である。


 しかし、多少の違和感はないでもなかったが。


 さらにこう言われた。


 『その申し出は、受け入れてほしい。なに、たいして、気にするようなことではない。仲良くするは美しきかな。』


 どこかで聞いたような気もする返答であった。


 しかし、ヘル・ジーがそう言うなら、致し方もない。まさに 是非もなしで、あろう。



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