第20話 『ネアゲラーの祈り』 その3 


 『なんと?』


 『ふみたい、すっき!』


 『なんで?』


 『ぷりん、かわいいって。いった。』


 ああ、あれか。


 たしかに、ふみたいは、そう言った。


 対して、ぼくは、すぐそばにいながら、そう思いはしながら、言ったことがなかった。


 たしかに、言わないことは、通じない。


 行動にでないことは、分からない。


 ぼくは、そういうのが苦手だ。


 ものごとは、かげでしこしこ努力するものだ。


 仕事だってそうだ。


 見せびらかす必要などない。


 へたなアピールや、まして、上司にお世辞など、実におろかな行動だ。


 父も、上司にへつらうやつが嫌いだった。


 しかし。


 父は実力者であり、居なければ会社が困る存在だった。


 ぼくは、そうではなかった。


 とはいえ、プリンに対して、『きみ、かわいいね。』何て言ったら、種子たねが飛んできそうだ。


 『ふふふ。ありがとう。ね、プリンさんもそう言っているし、話を聞いてくださいよ。』


 『うーん。』


 ぼくは、プリン105歳を眺めた。


『まあ、話だけなら、聴いてやります。』


 『やった。そうでなければ。ね、プリンさん?』


 『ふみたい、すっき!』




  👫 👫 👫  🙍  👫 👫 👫


 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る