第18話 『ネア・ゲラーの祈り』 その1


 『ぼくは、あなたの頼みを聞く気はないです。』


 プリンは、やっと袋からだされて、あっぷあっぷしている。


 『でもね、先ほども言いましたが、あなた、かなり、危ない立場ですよ。』


 『さっきも、あっちの連中にそう言われた。』


 『そうでしょう。事実だから。双方がそう言うんだからね。確かよ。』

 

 『脅かさないでくださいよお。』


 『まあ、あなたは、仕方ないかも、でも、この子は? かわいそうよ。』

  

 『む。この子! かなり年上だけど。そりゃ、まあ、ね。』


 『それに、なにより、この度、警察庁長官になった彼女。超強硬派のかなりの過激派。あなた、しりあいでしょ。』


 どき!


 『知り合いって、いうほどではないです。』


 『ほう。調べたところでは、小学校では同級生で仲良しだった。中学校では、恋人だった。高校は、あちらが、秀才学園にゆき、あなたは、最低ランクの公立高校にゆき、大学は、あちらは、最高レベルの東南海道大学に入り、一番で卒業し、A級公務員試験に一番で合格し、警察庁に入った超エリート。あなたは、小さな会社に3年がかりで、やっと入った。しかし、知り合いであることには違いがない。あちらも、知らないわけはない。まあ、箸にもかからないかな。』


 『棒にもかからないですよ。』


 『でもね、彼女は、あなたが『われわれ族』の血をひくことは、間違いなく知っている。彼女は、地球に『われわれ族』があることを、快く思っていない。つまり、彼女は、あたしたちにも、あちら側にも付かない、地球ナショナリストなわけよ。あなたは、つまり、宿敵だし、一方、御しやすい。とみているに違いない。あなたは、意外にも、地球にいる『われわれ族』の『食べられる側』の大物との接点がある。違うかな?』


 『違います。ぼくは、孤立していて、ひとりぼっちです。それが、プライドでもある。』


 『ふうん?』


 ふみたいは、映画のサリエリさんみたいな、ビミョーな目付きをした。


 ぼくらは、後ろの側の座席に座っていて、ぼくとプリンは、向かい合っている。


 ふたりとも、この、『ネア・ゲラー』とかいう正体不明な連中に挟まれている。


 

         🦖

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