第15話 『妄想の産物』


 ぼくには、ちょっとやっかいな力があるらしい。


 つまり、妄想したことが、事実となる。


 あるいは、未来を予知しているのか?


 ま、どちらなのかは分からないが、結果的には同じだろうが、つまり、そうなるのである。 

 

 ただし、どの妄想が実現するのかは、分からないのだ。



 2日後の晩。


 真夜中である。


 あの、連中がやってきた。


 黒服に、怪しいマークの金属製みたいな制服、分厚いヘルメット。


 一見、ロボットみたいな一団が、光線銃を手にして、我が家に押し入ってきた。


 『わ、わ、わ、わわわあ。』


 『だ、ま、れ。さ、わ、ぐ、な。ガキは、ど、こ、だ ? 』


 『がき、て、な、に、よ。』


 『バカやろう。がきだがき。さくらんぼみたいなガキだ!』


 『し、しりません。はい。』


 『ふん。よ、い。みつける、か、ら。』


 明らかに、やな連中なのだ。


 ぼくは、縛られ、転がされた。


 すると、仲間が外から入ってきた。


 『み、つ、け、た、』


 『よっしゃ。撤退する。』


 10分くらいの、早業である。


 ぼくと、プリンは、漆黒の護送車に押し込まれた。


 

         🚗


 連れてゆかれた場所は分からない。


 なにしろ、外は見えなかったのだ。


 しかし、着いたところは、やはり、地下みたいだと思った。


 つまり、雰囲気が地上ではない。


 湿度が高くて、重圧感がある。


 身体が重たい。ま、それは、関係ないだろうけれども。


 プリンは、袋に詰められているみたいだ。


 さくらんぼではない。残酷な連中なのだ。


 こうなると、次は、色つき光線に責められる、尋問室が待っているに違いない。


 圧倒的に、いやな形勢である。


 こういう時には、妄想できないのだ。



         🔦

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