第13話 『プリンとふみたい』 その3


 『まさか。ははは。まあ、うわさです。』


 『うわさ、ですか。じつは、わたしは、馬木山町ばきやままち署では、下っ端ですが、最近は積極的に見回りをしています。ここには、なんだか、なんといいますか。つまり、なにか感じるものがありまして、ノスタルジーとでも、いいましょうか。』


 『あなたは、ノスタルジーで、仕事するのですか?』


 『まあ、いえいえ、逆です。仕事の中で、色々感じるのですよ。あなたは、なにも感じませんか?』


 『いや、そりゃ、まあ、感じるものはありましょう。人間ならば。』


 『まさしく。そうなのです。まあ、一般に、勘とよばれますが。』


 『バキヤママチ』は、よく『ばけやままち』と、意図的に誤って呼ばれる。


 もともと、殿様が、馬で、この奥の山から切り出した木を、ここを中心にして川から各地に運んだことから出ているらしい。


 途中からは、幕府の直轄になった。


 古くから、林業が盛んだった町である。


 最近は、珍しいくらい、都市化しているが。


 関係する、お侍さんの家、屋敷などもあった。


 じつは、『われわれ族』の流人が、わりに沢山住んできた歴史も、あるらしい。


 まあ、住みやすかったのだろう。


 ここの殿様は、代々、割合開明的だったみたいである。外からの流入を、あまり拒まなかったらしい。それは、労働力の確保という側面が強かったようだ。


 『勘といいますのは、大切です。閃きです。火には気をつけてください。嫌わないで、仲良くしましょう。』


 ぼくは、仲良くしたくはない。


 しかし、そこに、なんと、プリンが飛び出してきたのである。


       

        👁️ 👁️

         🍒

         👄 








 

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