第11話 『プリンとふみたい』 その1

 実のところ、このアパートは、地球会が無理して借り上げている物件である。


 所有者が誰なのか、ぼくは知らないが、なにかしら『われわれ族』とのつながりがある存在なのは間違いがない。


 入っているのは、妖怪ばかりである。


 つまり、表向きは、『ほぼ』無人アパートなのだ。


 しかし、それでは、かえって変だし、みんなの食事とかも必要だし、まあ、ヘルパー兼管理人みたいな感じで、見た目人間のぼくがいる。


 お風呂やトイレは共同である。


 近所からは、当然ながら『ゆうれいアパート』と、呼ばれている。近づくと、たたりがあるとも言われている。


 そりゃそうだろ。


 どうしたって、多少は目撃されてしまうからね。


 むかしは、そうしておいたら、人が近寄らなかったのだが、最近は違う。


 日夜、探検に来る、若者の皆さんがある。


 まったく、この国はどうなってるんだろう。

 

 会のおかげで、払うべきは払っているし、町内会費だってちゃんと納入している。


 ゆうれいアパートと言われながらも、きちんと、やるべきはやっている。


 警察の方も、なぜだか、めったには巡回しない。


 来ても、ちょっと見るだけにする。


 どういう力が関与しているのかは知らないが。


 まあ、問題は、極力起こさないようにしているし。


 しかし、プリンは、違った。


 ダメだと言っても昼間の散歩にでる。


 まさか、監禁はできないし、部屋は当然ながら別だ。


 ただし、出入りはぼくに報告するべく、決まりになっている。


 しかし、プリンは、わりと、無視するみたいだ。


 なので、外出時は、アニメみたいに、服装でごまかし、昼間は出ないように言い渡している。


 が、プリンは、なかなか難しい。


 実体感が強いのだ。


 透き通ったりはしない。


 また、なにしろ、体長が50センチ程である。


 だから、アニメではなく、映画クラスのメイクが必要になる。


 さくらんぼが、歩いていたら、さすがに変だろう。


 しかも、プリンは、メイクが嫌いである。


 ただし、プリンは、空を飛べるという強みはある。



 さらに、ふみたいは、またまた違った。


 一軒ずつ、きちんと回ろうとしたのであるから。



 


 

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