第9話 『プリンがふみたいもの』 その2

 

 しかし、人類は、妖怪の姿に、自分たちの真実の反映をみるのだ。


 と、いうのは、人類のヒーロー、ゲーテさまのぱくりである。


 わからない場合は、『ファウスト』を、ご覧ください。長いけど。


 ただし、事実だと思う。


 だから、プリンは、可愛いんだから。


 ぼくにとって、プリンは、可愛くなければ、ならないのだ。


 さて、話が長いから、さっきの経済談義はまたにして(もうしないかも。つまり、ユートピア理論みたいなものである。)、散歩から帰ったプリンが言った。


 『ふみたい。』


 まだ、言葉が、単語的で、言いたい意味がよくわからないことが多い。


 『なにを、ふみたいの?』


 『ふ、み、た、い、』


 『だから、なにを? ふ、み、た、い?』


 ぼくは、床を踏んで見せた。


 プリンさんは、苛立った。


 『ちゃう。ふ、・み、・た、・い。・』


 そういえば、プリンの言語指導しているのは、関西出身の妖怪だったな。


 『ふ、みたい?、ふみ、たい? ふみた、い? いやあ、違うよなあ。あ、もしかして、なまえ?』


 ぼくは、ふと気がついた。


 文田 瑋 さん。


 警官さんで、ぼくらをマークしている人だ。


 『ふみた、い、さんが、いたの?』


 やっと分かってもらえた、と、プリンさんが笑顔になった。


 そりゃ、まずいだろ。


 このアジトは、秘密にしている。


 先日、近所をうろついている文田さんを窓から見ながら、ぼくは、プリンさんに言った。


 『あれが、ふ、み、た、い。危ないひとだから、近寄らないで。わかる?』


 『うん。』


 はい。


   ぼくが、教えたのである。



         👮‍♀️ 


 

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