第40話 殺人鬼の正体は?
戦後の混乱期の中、育ての両親に手を引かれヂ―ミンは台湾から母リンランが住む日本に辿り着いた。そして…母リンランの婚約者加藤家に助けを求めたが、不幸な事に両親は不審者と間違われ、その場で撃ち殺されてしまった。
恐怖で一杯のヂ―ミンは逃げて逃げて、焼け野原でヤクザドユンに拾われ敗戦国日本で生きる事が出来た。そんな恩義もあり真知子という彼女がいながら、ドユンの娘ジアと結婚した。
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1991年3月バブル崩壊。
1992年3月1日暴対法施行。
不況の波が押し寄せ、更には暴対法施行でダブルパンチを食らった暴力団は弱体化の一途を辿っていた。
そんな中、ヂ―ミンは妻ジアと話し合いを持った。
「金田組から足を洗いたい。そして…離婚したい」
「あなた、何を言っているの?あなたみたいなヤクザが足を洗って…どうして生きていけるの?私を捨てて出て行くのだったら、財産はびた一文払わないから…」
「俺はもうこんな世界がつくづくイヤになった。裸一貫で出て行く。ジア許してくれ!」
「あなた…何も…今更離婚しなくても……お願い!考え直して…ゥゥゥ。゚(゚´Д`゚)゚。ワ~~ン😭ワ~~ン😭」
こうしてジアが引き止めるのも聞かず、ヂ―ミンは離婚に踏切った。そして…早速真知子の妹美智子と同棲した。
それは金田組の帳簿の管理一切合切を最高顧問だったヂ―ミンが取り仕切っていたので、当然税理士と弁護士ダブルライセンスを持つ、訳ありの朝鮮人の顧問弁護士イ氏にも便宜を払ってもらい、隠し財産を握っていたヂ―ミンだったから言えた言葉だった。
金田組の金の流れを正確に掴んでいたヂ―ミンは、相当額の預貯金をスイス銀行に偽名で隠し持っている。だから美智子との生活面でお金に困る事は一切ない。
だが、運悪くジアに美智子との関係がバレてしまい、今現在も金田組の顧問弁護士をしているイ氏が口を割ったら、金の流れの一切合切がジアにバレてしまう。ヂ―ミンは生きた心地がしない。
金田組顧問弁護士で朝鮮人のイ氏が口を割ったら全て終わり、大変な事態になる事は火を見るよりも明らか。
そんな不安を余所に…ヂ―ミンと美智子の間に2002年4月某日にヤンが誕生した。
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一方の今野家に養子縁組された大は、大学時代からの知り合いで3歳年下の女性璃花子と結婚して暫く子宝には恵まれなかったが、無事栄治が誕生した。
そして…ヂ―ミンは、ジアに全てバレ付け狙われるようになる。
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この田代総合病院はかれこれ80年以上続く、市民の誰もが知る市民密着型の病院である。だが、この田代総合病院は、1945年6月の福岡大空襲で焼け野原になってしまった。
市民の命を守る大切な病院だ。その為、田代総合病院は、急ピッチで病院再開発が始まり、新築の病院には以前の活気が戻って来た。だが、この病院はいつの頃からか分からないが、何か…怪しい設計が随所に施されるようになった。
そして…一時は、入院した多くの患者が失踪するという事件が起こっていた。この病院では何か如何わしい、事件でも起こっているのだろうか?
はっきりした事は分からないが、どうも…聞いた話しによると、奥まった1棟北病棟全ての部屋が迷路のような秘密の通路で繋がっていて、覗き穴はもちろんスライドする扉も壁に仕掛けられているというのだ。
そして…密閉してガスを送り込み殺害する部屋なのだろうか、また、石綿(アスベスト:天然に産する繊維状の結晶鉱物の総称で、アスベストとも呼ばれている。使用目的は耐火、断熱、防音対策)で覆われていて、その中で被害者に火を点けて焼き殺せるようになっている部屋があるらしい。
室内は完全防音で、完全に気密(空気が出入りしないように密閉された状態)にすることが可能で、各部屋にはガス管が仕込まれているというのだ。
でも…これは幾らなんでも、例え噂話しと言えど酷過ぎである。誰かの悪質なデマなのか?
そして…地下室には高温の焼却炉が設置されており、これは殺害し、死体を処理する為だというのだ。
毒ガスにより殺害すると、この気密室には覗き窓がついており、苦しみもがく姿を見て興奮し、大喜びしている怪しい男がいると言うのだ。
更に…何と殺害された患者の金品を奪っていたというのだ。
異常な病院の仕掛けも明らかとなった。また、別の部屋には床が落とし穴になっており、地下室に落下するようになっている。そして…そこで死体処理がされているらしいのだ。
「ワッハッハッハ ワッハッハッハ」
このきちがいは一体誰なのか?」
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田代総合病院の噂をもっと掘り下げて見よう。
この病院では、いっとき多くの患者が行方不明になった。そこで口さがない人達の中には、殺人病棟と呼ぶ人もいた。そして…話に尾ひれがつきとんでもない話になってしまった。
例えば、ガス管を取り付けた防音室に閉じ込められ、窒息死させられた被害者や、密閉され一定の扉からしか入れない別の密室に連れて行かれ、そこに閉じ込められて精神疾患がないのに精神病院に入院させられ餓死と脱水症状で放置された被害者がいたというのだ。
それは人が死に行く姿、悶え苦しむ姿を覗き穴から見て興奮する誰かがいるからなのだが?被害者たちの死後、死体を地下に続く落とし穴から落とし、その死体を解剖して肉を剥ぎ取り、骨格模型に加工し、医学部に売りさばいてい金儲けをしていたともいう。
また、石灰溜めに捨てたり、焼却炉がありそこで焼却したり、腐食性の酸や毒物などで溶かして処分していた。
一体誰が、こんな恐ろしい噂を吹聴しているのか?
分院と言えど、この熊本にある分院は精神病院。奥まった北病棟には恐ろしい仕掛けの数々が施されていたというが、本当なのだろうか?
病床数300はあろうかという5階建てを建築。これが効率的に設計された「殺人病棟」だった。全ての部屋が迷路のような秘密の通路で繋がれており、覗き穴はもちろん、スライドする扉が壁に仕掛けられていた。
更にはガス栓が備えられていて、患者を中毒死させることもボタン一つのワンタッチで出来た。
屍体はリフトで地下にある硫酸槽に運ばれた。アスベストで防音された窓一つない部屋は「独房」と呼ばれ、中には様々な外科手術用具一式が揃えられていた。
彼はこの「恐怖の病棟」を建築するにあたって、いくつもの業者に発注した。業者をコロコロ変え別の業者に発注する。この繰り返しのおかげで、内部事情がはっきり分からないので誰からも疑われずに「殺人病棟」を完成させることができたのだ。その正確な間取りは田代しか知らなかった。
こうして「殺人病棟」は完成した。
田代は精神疾患があると家族に説明して入念に選別し、まず金があること。美人であること。遠方からの客であること。いったいどれだけの女性が餌食になったのか、正確な数は判っていない。
どうも……過去の異常犯罪者H.Hホ―ムズを参考にしたいと考えている。
一体どどうして、このような恐ろしいことが出来るのか?只の噂話しなのだろうか?
どうもこの時代死体が至るところに転がり過ぎていて警察も手が回らず、そんな光景に馴れきって、死という事に無頓着になっていた時代だから、何食わぬ顔で出来たのかも知れない。
そんな時代の警察も手が回らない時代の隙間に、きちがい行為を繰り返し人の命を奪っていたのだろうか?
*快楽殺人。
「人を殺すと、もっと殺したくなる」
斧とハンマーで次々と、67人を殺害した中国史上最悪の連続殺人鬼ヤン・シンハイの言葉だ。
現に人々が次々に行方不明になっていたのは事実だ。
「嗚呼…興奮する…人を殺害したい……血が欲しい…嗚呼…動物や人間の臓器や血の滴る…血液の溢れ出たあの瞬間が…ぞくぞくする…血の中で……もっともっと…」
この、殺人鬼きちがいは、一体誰なのだろうか?
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