第30話 田代総合病院の秘密
健介にしても、16歳と言ってもまだ子供だ。自分が恋焦がれて夜も眠れない程思いを募らせていたのに、あっさりかっさらった実を許せなく思って、大親友の秘密を意図も容易く暴露してしまった健介。
この一件以来実は学校でも、また学校からの登下校時にも言われなき差別に合う事となる。
今までは成績優秀にして超イケメンの実は、紛れもなくこの界隈の学園のスターだったが、あの日、健介がカ――ッとなってとんでもない事を口走った為に、実には予想以上のとばっちりが飛んで来ていた。
例えば、実が通ると一斉に集まり、ジロリと何か曰く有気な目つきでこそこそ話し、更には、学校の帰り道集団で襲われ、ボゴボゴにされる事も増えて行った。
「台湾人のクセしてデカイ面して歩くんじゃねぇ!生意気な――!オイこいつボゴボゴにしろ!」
それこそ、言われなき差別に耐え兼ねて、我慢の限界をとっくに通り越していた。あんなに昨日までは、ちやほやされていたのに、まるで人が変わったように手のひら返し。
やがて人間不信に陥り、世を恨みいじけてしまい、不良とつるむ事も多くなり、自分の身を守る為にも、裏社会に足を踏み入れて行く事となる。
それでも、真知子ちゃんも酷い女の子、あれだけ強引に近付いて置きながら酷い話しだ。
そして…好きでもないジアと結婚した。
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過去の諸々の呪縛が現在にまで尾を引いているのだろうか?
それでは、ヂ―ミンの息子ヤンは何故怪しい行動の数々を取らなくては行けないのか?
徐々に解き明かされる謎の数々を解き明かして行かねばならない。
その前にまず田代総合病院で起こっている事件の数々に着目する必要がある。
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この田代総合病院はかれこれ80年以上続く、市民の誰もが知る市民密着型の病院である。
だが、この田代総合病院は、1945年6月の福岡大空襲で焼け野原になってしまった。
市民の命を守る大切な病院だ。その為、田代総合病院は、急ピッチで病院再開発が始まり、新築の病院には以前の活気が戻って来た。
だが、この病院はいつの頃からか分からないが、何か…怪しい設計が随所に施されるようになった。
そして…一時は、入院した多くの患者が失踪するという事件が起こっていた。
この病院では何か如何わしい、事件でも起こっているのだろうか?
はっきりした事は分からないが、どうも…聞いた話しによると、奥まった1棟北病棟全ての部屋が迷路のような秘密の通路で繋がっていて、覗き穴はもちろんスライドする扉も壁に仕掛けられているというのだ。
そして…密閉してガスを送り込み殺害する部屋なのだろうか、また、石綿(アスベスト:天然に産する繊維状の結晶鉱物の総称で、アスベストとも呼ばれている。使用目的は耐火、断熱、防音対策)で覆われていて、その中で被害者に火を点けて焼き殺せるようになっている部屋があるらしい。
室内は完全防音で、完全に気密(空気が出入りしないように密閉された状態)にすることが可能で、各部屋にはガス管が仕込まれているというのだ。
でも…これは幾らなんでも、例え噂話しと言えど酷過ぎである。誰かの悪質なデマなのか?
そして…地下室には高温の焼却炉が設置されており、これは殺害し、死体を処理する為だというのだ。
毒ガスにより殺害すると、この気密室には覗き窓がついており、苦しみもがく姿を見て興奮し、大喜びしている怪しい男がいると言うのだ。
そして…何と殺害された患者の金品を奪っていたというのだ。
異常な病院の仕掛けも明らかとなった。また、別の部屋には床が落とし穴になっており、地下室に落下するようになっている。
そして…そこで死体処理がされているらしいのだ。
「ワッハッハッハ ワッハッハッハ」
このきちがいは一体誰なのか?」
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