第25話 見えてくるヤンの父の正体
ヤンの両親の秘密の悪事とは一体どんなものなのか?ヤンの父ヂ―ミンの人物像を辿って見よう。
1946年 4月 2日にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部:戦後日本の占領行政を担った連合国機関)が非日本人の入国に対して、厳しい要求を突き付けていた。さらにその許可を与えるのも、半永久的に日本に居住す ることが前提とされた 。
そして…当時これを利用して、日本に入ったの は、日本に親族が居住する者か、戦前から日本に居住し一定の生活基盤を持ち、「一時帰国」 を行った人に限られており、一般の人々は、 GHQに事前に申請することもできず、またその 余裕もなかった。
それでも…大変な事態が勃発して、戦後台湾の経済状況の悪化や、 47年に起きた「二・二八事件Jなどの影 響で日本へ逃れてきた人々が「不法入国者」の大多数と考えられる。
だが、待っていたのは言われなき差別の数々だった。戦後占領行政の中で、 日本人と非日本人は様々な場面で差別され、その過程に漂う台湾籍者の不安定な姿がうかがえる。
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ヤンの父ヂ―ミンは、闇市でキムドユンという人相の悪い男に拾われた。実はこの男ドユンは第三国人の間でも評判のワルだった。そして…三国人の間でも凶暴と恐れられた、とんだ食わせものだった。
更には、ヂ―ミンの義兄弟でジホという男は、これまたとんでもない男で、窃盗、強盗、強姦致死等の罪で絞首刑に処せられた男だった。
しかし…なんと信じられないことに絞縄にぶら下がったジホの脈は、いつまで経っても停止せず、処刑は失敗する。
縄を解かれたジホは刑務官たちの努力の末に意識を取り戻すが、処刑の衝撃で記憶を失い心神喪失となっていた。刑事訴訟法により、刑の言い渡しを受けた者が心神喪失状態にあるときには執行を停止しなければならない。
刑務官たちは再執行のために、彼に記憶と罪の意識を取り戻させようと躍起になるが、記憶の一切が思い出せないままになってしまった。こうして医療刑務所に入る事になったジホ。
だが、戦争末期の東京は爆撃と大火の連続。焼け野原となった東京は、医療刑務所も御多分に漏れず、爆撃で壊滅状態。ほとんどの医療従事者と受刑者が命を落としたのだが、そんな心神喪失状態ではあったが、どういう訳かジホは助かってしまった。
またこの男、運動神経が抜群で頭の回転が異様に早いとんだくせ者だった。どさくさに紛れて、運良く朝鮮部落のキムジホという男で年齢的に近い男の戸籍謄本を奪って、キムジホに成り済まし生きている。
まぁ…あの時代公共施設市役所なども焼け落ち、戸籍謄本なども焼け落ち灰になってしまった。更には戦後のどさくさで手が回らず、戸籍の申請手続きもずさんな物だった。
辺り一面焼け野原途方に暮れていたジホは、戦後日本の闇を動かしていたヤクザのボスでドユンに抜群の運動能力を買われ拾われた。
だが、このジホ心身喪失状態で、恐ろしい男だった。精神障害のせいで善悪の区別が出来ない、きちがいのような男だった。そのせいでボスのドユンに拾われたヂ―ミンはジホと行動を共にする事となるが、とんでもな被害の連続となる。
さて…ヂ―ミンはどうなってしまうのか?
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