第24話 バイク事故
一方、あの交通事故の真夜中、桜吹雪舞う熊本城下を一台のバイクが、それもかなり大きい高級バイクの代名詞ハ―レ―を、乗り回すカップルの姿が有った。
実は、バイクで死亡になるようなケースはひくというよりも、スピードが出ていた状態で衝突し、跳ね飛ばされた相手が転倒でコンクリート壁や電柱に頭部をぶつけたりした場合がほとんどだ。または腹部~胸部に強い圧迫を受け、内臓破裂などをおこした場合、またはその両方が起きた事で大惨事を招く事がある。
それでは、あの日、バイクのキングハ―レ―を勢い良く凄いスピ―ドで走り去った一組の若いカップルが走り去った、あの時に起きた事故の顛末には、その後進展が見られたのか?
あの真夜中、スピードが出ていた状態で衝突した為、跳ね飛ばされた相手が転倒でコンクリート壁に頭部をぶつけたので、腹部~胸部に強い圧迫を受け、内臓破裂などをおこしたと考えられる。
この若いカップル亮と彼女は後続車ヤンの両親のお陰で、犯行は免れていた。だが、余りの高級バイクだった為、後一歩で限定されそうだ。
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実はハ―レ―を運転していた亮の父親は、九州に拠点を構える九州では誰もが知る野球球団の有名監督だった。
そして…福岡県に本拠地を構える福岡ヤマトホークスは、九州地方の人々から絶大な人気を誇っている。
警察が犯人の車やバイクの塗装とか車体の跡から証拠がないか調べている状態で、更に警察は防犯カメラの解析など動いているようだが、 ナンバーさえ特定できれば相手は捕まる可能性は高い。だが、時間は真夜中で人通りもほとんどなかったので難航している。
それでも…タイヤ痕だけでは、、、無理だろう。 せめて車両部品でも落ちていないと……?
よほど特殊なタイヤで車種が推測されたとして 、その車種が日本に数台しかないとかなら 車両を特定することは 理論上可能だが、たまたまこのハ―レ―日本には数少ない高級バイクだった為、犯人特定ももう後一歩というところまで来ている。
その頃、山田家では証拠隠滅の為に必死に家族で相談していた。
「バイクのナンバーが特定されれば、私の監督生命は終わりだ。全くバカな事をしてくれたものだ。このバカが!」
「本当に困った子ネ!どうするのこんな事が表沙汰になったら、我が家はおしまい。嗚呼どうしたら良いの?ともかく衝撃で傷付いたバイクを隠さなくては?」
「そうだ!大きいバンに乗せて別荘の地下室に隠そう」
こうして証拠の品を別荘の地下室に隠した。
だが、この一家はにっちもさっちも行かない状態に、追い込まれる事となる。
それは…安心したのも束の間、ある日刑事が突然訪ねて来た。
「亮さんのバイクは、日本でも数少ないCVO○○○だそですね?」
「ああ…イエ?…ああ…はい…」
もしバイクが限定されてしまったら大変な事。
「ああああ……バカ息子のせいで俺の監督生命は終わりだ!玲子お前の監督不足だ!嗚呼ああもう…」
「あなた…私にばかり責任を…ウウウ。゚(゚´Д`゚)゚。シクシクウウウワ~~~ン😭ワ~~~ン😭」
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そして遡ること2週間前、高齢の夫婦の死はニュースで大々的に放送された。
だが、意外な事に犯人は亮がひき逃げを起こし、逃げた後からやって来た中高年夫婦の車が、ひき逃げ犯人と断定され、ガ―ドレ―ルに衝突して、被疑者死亡をもって解決されてしまった。
こうして山田家には、また以前の静寂が戻りつつあった。運良く少し町外れに差し掛かっていた為、防犯カメラに映っていなかったのが功を奏した。
だが、喜んでいたのも束の間、静寂を取り戻しつつあった山田家に、ある日思いも寄らない電話が入った。
「うふふ うふ うふふ 奥さん息子さんの事件上手く行きましたね。うふふでも…うふふ…あの真夜中…実は目撃したのですよ。逃げれると思ったら大間違い。うふふ…奥さんこの件をバラされたくなかったら、僕の指定した口座にお金を振り込んで下さい。取り敢えず百万円。分かりましたか?」
「いい加減な事言わないで下さい。口先ではなんとでも言えます。証拠…証拠を見せて下さい」
「うふふ…じゃあ奥さん今度、近所の喫茶店ロマンスで待ち合わせして証拠をお見せします。来れますか?」
仕方ありません。三日後の午後三時に喫茶店に行きます」
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山田監督の妻で亮の母玲子は近所の喫茶店ロマンスに、指定した時間にやって来た。
すると、目付きの鋭い何か威圧感のある三十代の男が、胸のポケットに赤いハンカチを入れ待っていた。
あの時目印に、赤いハンカチを胸のポケットに入れて来る約束を取り付けていた。
実はこの男、ヤンと一緒にクラブ蘭に姿を出していたヤンの悪友今野だった。
携帯に収めた証拠のナンバープレ―トを見せられた亮の母は、その場に座っている事もままならない状態に追いやられ、心臓の鼓動が波打ち話すこともままならない状態に陥ってしまった。
「アッあの~この話はまた後日にお願いします。私少し体調が思わしく御座いません。失礼します」
亮の母玲子は、その言葉を発することで精一杯だった。
それでは、何故今野は山田監督の息子の事件現場を目撃していたのか?
実は、今野は大災害の両親が瓦礫に粉々に打ち砕かれ波に飲まれる姿を思い出すと、只々自分の不甲斐なさに、涙が止めどなく溢れ押さえることができない。
そんな思いからどうしても立ち直る事が出来ずノイロ―ゼ気味になり、留年を余儀なくされた。そんな時に気の毒に思ったボランティアの女性に救われたのだが、いつも話す事は両親が波にさらわれる恐怖の話ばかり。その気持ちは痛いほど分かるのだが、結婚してからも延々精神的ケアに付き合わなくてはいけないのかと思うと気が遠くなる。
実はこの女性、医者に目がくらんで付き合い出したのだが、付き合っていた彼氏がいたのだ。彼氏は普通の職業の明るく好みのルックスである。一方の栄治は、ノイローゼ気味で暗いし、話しも同じことの繰り返し。そして…さしてタイプではない、冴えないルックスだ。只医学生というのは魅力はあるが、留年してしまった。
彼女の気持ちはとっくに冷めていた。そして…連絡が取れなくなってしまった。
このような事情から栄治は益々塞ぎ混んでいった。
長谷川夫婦にすれば折角兄貴が亡くなり、田代総合病院を我が物にと目論んでいたにも関わらず、栄治には頭が痛い。とんだ約立たす。とんだ誤算。
こんな事情から余計にヤンを養子縁組にと願う長谷川夫婦。
だが、両親の思惑に感づいた栄治は、このままだとこの田代総合病院から追い出されてしまう。
やっと目が冷めた栄治だが、もう既に2年の留年生活を強いられていた。
こうしてヤンの秘密を暴き出そうと躍起になっていた。
長谷川夫婦にしても今さら養子縁組した栄治を追い出す訳にもいかないが、完全に跡継ぎはヤンにと目論んでいる。その目論みをいち早くキャッチした栄治。
一見仲の良い義兄弟のように映るが、腹の中は怒りで一杯。こうしてヤンにくっついて歩く栄治。
そしてヤンの両親の秘密を知った栄治は、留年の身の上だから時間は有り余る程ある。
何故栄治が、老夫婦が殺害された現場を知っているのか?という事だが、実はあのヤンの両親の旅行は、只の旅行ではなかった。
そこには、怪しい仕事が待っていたのだった。だから今野はヤンの両親の秘密を暴いて、長谷川に通告してヤンを養子縁組するのを阻止しようと躍起になっている。
それから、犯人が分かっていながらヤンは、遺族に賠償金を支払っていたのか?
今野は義兄ヤンの両親が犯人ではない事は知っている。けれど、その事実をヤンに話ていない。ヤンにいつもくっついて歩いているからと言っても、ヤンに都合の良い話は絶対しない。
ヤンを窮地に陥れ、長谷川から遠ざけたいばかりの今野は、少しでも多く欠点を暴き出したいばかり。
そして…実は、ヤンは両親の悪事をエサに今野から脅迫されていた。
両親の悪事とは一体……?
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