第13話 両親の事故の真相
「一度だけ高身長の男性を見掛けた事が…それはマンションの駐車場に二人で歩いて行く男性とアヤさんの姿で、その後車でどこかに走り去って行きました。でも?他にも車で出掛けた男性はいましたから…」
田中と三田は、アヤと車で出掛けた男の車が、田代理事長の車だと分かり早速この高身長イケメンの身元割り出しに走った。
そこで車の所有者で田代総合病院の理事長に、車を貸した経緯を問い質した所、今現在ヤンは結婚して妻の会社の副社長に収まっており、たまたま隼人とアヤがマンションが一緒だったので、顔見知りだった事からクラブ蘭に送ってやっただけだった。
防犯カメラから割り出された結果だったが、一度だけアヤと車で走り去っただけでは深い関係が有ったとは言いがたい。アヤは他の男性たちとも仕事柄多くの交友関係が目撃されているので、問題視されなかった。
だが、田中と三田は意外な話を入手していた。それは田代総合病院の顧問弁護士から、聞き出した情報だった。
医師仲間や看護師、仕事仲間からヤンと呼ばれていて、実は医師として現在、田代総合病院で働いているとの事。それは隼人の叔父長谷川院長の一存で決まったものだった。当然隼人も大賛成。
🔶🔷🔶
このヤンの両親には、どんなヤバい過去が隠されているのか?女社長華子の婿養子に入ったことで、この結婚を隠れ蓑に過去の生い立ちも有耶無耶になり、益々ヤンの結婚詐欺師まがいの悪事も闇に隠れ陰湿さが増して、実態が益々曖昧になってしまった。
田中と三田もクラブのホステスアヤとの接点はないと確信した。クラブ蘭に送っただけの間柄の、一度車で走り去ったくらいで、追う必要性はないとの見解に達した。
クラブのホステスは男性を接待するのが生業。防犯カメラからアヤの部屋に出入りする様子も目撃されていない男を、追い回す程刑事も暇ではない。
こうして、アヤが、行方不明になり真っ先に疑いの目を向けられたのは、やはり大谷大臣の方だろう。
実は、この話には裏があった。アヤのマンションのコンシェルジュが、話してくれた高身長イケメンヤンの話だが、本当は度々アヤのマンションで会っていたが、コンシェルジュのいない時間帯にアヤ宅を訪問していたヤン。
コンシェルジュの勤務時間はAM11:00~20:00までだ。そしてヤンは同じマンションに隼人が別宅として構えているので、度々このマンションを訪れていた。そしてその足でアヤのマンションに出入りしていた。
※コンシェルジュサービスとはどのようなものがあるのか?
日常生活の中にある「宅配便を出しに行かなければならない」「打ち合わせをするスペースを探したい」といった、小さな手間をマンションコンシェルジュに任せることができる。
🔷🔶🔷
だが、更に田中と三田はとんでもない話を入手していた。それは田代総合病院の顧問弁護士から、聞き出した情報だった。
その情報とは一体どのようなものだったのか?
実は現院長長谷川夫婦には、子供が授からなかった。その時に隼人の友達ヤンは、よく田代総合病院の隣に隣接された亡くなった兄夫婦の豪邸に、頻繁に遊びにやって来ていた。
子供が授からなかった長谷川夫婦は、いつの頃からか、おぼろにではあるが「あんなに可愛い賢い子供が、自分たちの子供だったらどんなに幸せか」そう思うようになっていた。
それでも普通養子縁組みは、子供が小さい内に養子縁組みを行うのではないのか?よりによって何故、そんな高校生の子供を養子縁組みにと考えたのか?
実はこの夫婦、不妊治療の為に40過ぎまで時間を費やしてしまった。
それでも、いくら赤ちゃんが欲しいと言っても、40代中盤から赤ちゃんを育てるのは大変な事。面倒見るのが億劫になり、自分たちの年齢に相応しい高校生くらいの子供に焦点を合わせ養子縁組みを考え出した。
そうは言って見たものの、理想の子供は易々とは現れなかった。第一に考えるのが、賢い子供という条件は絶対外せない。それは、医者になれる器という事になる。
そうなって来ると中々条件に合う子供はいない。
そんな時に、隼人の友達で秀才のヤンを見た時は、身体中に鳥肌が立ち、その感情を抑える手立てがない程感激してしまった。
以前から兄に「隼人の友達が天才だ」とは噂に聞いていたが、その子供がこんなにルックスが完璧でオマケに高身長のこんなにイケメンだなんて、想像もつかなかった事。
長谷川夫婦はもう何がどうあれ、この子供しか考えられない境地に陥ってしまった。
「だが、ヤンが高校生の頃の両親はまだ生きていただろう?ヤンが医師として働き出してから両親は、交通事故に遭い亡くなったのだから」
「それでも弁護士にまで話が進んでいたという事は、養子縁組みの話が持ち上がっていた事を意味する。そして…長谷川夫婦は相当真剣に、養子縁組みの話を考えていた事になる」
「バカな事を!両親がいながら養子に出す筈がないだろう?」
「それが…ヤンの両親には、以前から胡散臭い噂が後を絶たなかったらしいのです。まだはっきりした事は分からないですが?」
「だから、ヤンの祖父母はその養子縁組みの話に乗り気だった。あんな息子夫婦の側に置くよりちゃんとした、それもお医者様夫婦に貰われて行けば、未来は明るい」
「そんな事もあり、隼人とヤンは益々仲良くなって行ったのかも知れませんね?」
「でも未だ養子縁組みされていない?」
「それはそうだろう。交通事故の原因をハッキリ解明しないと。犯罪者の息子を養子縁組みしないだろう」
「あれ?あの交通事故の犯人は別にいるって事ですか?」
「今捜査中だよ」
あの日の真夜中、ヤンの両親は夫婦で車で近場に旅行に出掛け帰省途中の真夜中に、交通事故で死亡してしまっていた。
その時に居眠り運転が原因で、人を二人も引き殺していた。大変な事を仕出かした両親は、助けようと一旦は車内から降りて助けようとしたが、運悪く後方から車の影が見えた。
どちらからともなく危険をキャッチした二人は、この場を去る決意をし慌てて逃げてしまった。
だが、余りにも慌て過ぎてガ―ドレ―ルに衝突、そしてヤンの両親は命を失っていた。
だが、この事件の起こる十分程前にバイクの王様、高級感溢れるハ―レ―を乗り回す若者カップルが、桜吹雪舞う熊本城の天守閣を後にバイクを勢いよく走らせていた。
その時暗闇から老夫婦のカップルが、交差点を渡ろうとした。
キッキキキ――――ッ!キ――――――ッ!
ボッカ―――ン!グッシャン!ボッカ―――ン!
夜寝つきが悪くジョギングをしようという話になり桜吹雪舞う熊本城の近辺を手を繋ぎ、ジョギングを楽しんでいた老夫婦は、前方から勢いよく走って来たハ―レ―にぶつかり勢いよく打ち付けられてしまった。
「キャ――――ッどうするの…ワァ~どうしよう?なんとか……なんとか言いなさいよ?」
「マリアこの…この事は…この事は誰にも絶対話すな!分かったな?」
「リョウ君助けないと?」
「うるさい💢ダマレ!さっさと急いで帰ろう!」
このリョウ君の父親は有名人だった。さぁこれは大変な事に????
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます