第5話 喧嘩
「何を…何を…するのですか?たっ助けて下さい!」
「ウッフッフッフお嬢さんウッフッフッフこれが…フフあなたの運命です」
「キャ――――――――――――――ッ!」
アヤは車に乗せられ一路、目隠しをされて薄暗い場所に置き去りにされた。その為、手を引いてこの場所に誘導した人物も分かっていない。何か特徴的な香水の香りが鼻についた。どこかで嗅いだことの有る……?
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「細胞記憶」とは、人間の思いや癖や嗜好は脳だけではなく、個々の細胞もそれぞれ記憶しているのではないかという仮説である。
例を挙げるならば、内臓移植を行ったときドナーの記憶が顕著に受け継がれる現象などである。 そして…臓器移植を受けたことによって、心臓の元の持ち主の感情を受け継いでいる例が幾つも報告されている。
有名な話しを挙げると、バレエダンサーのクレア・シルヴィアの事例がある。1988年の事だが、医療機関は提供者がバイク事故で死亡した18歳の少年だとだけクレアに伝えられた。 その時中年女性のクレアは脳死した若い男性の心臓と肺を、同時に移植手術を受けた。この移植手術は無事成功した。
だが、その数日後からシルヴィアの性格は徐々に変わっていった。彼女はバレエダンサーという職業柄、ハンバーガーやチキンなどファストフードは大嫌いだったのだが、移植後はケンタッキーが大好物になった。さらに嫌いだったはずのピーマンは大好きになり、歩き方まで変わって男のような歩き方になってしまった。
そして…彼女は夢の中に出てきた少年のファーストネームも何故か知っていた。そして、後に彼女はドナーの家族と連絡を取ることに成功、彼女が知っていた少年のファーストネームはドナーの名前と一致した。そして…なんとクレアが移植後大好物になったピーマンとチキンナゲットは、彼の大好物だった。
また2021年末、なんとも厄介な事件が起きた。それは、細胞記憶が引き起こしたとしか考えられない事件だった。
米ジョージア州アトランタで、マイケル・ロドリゲスという男性が女性23人・男性4人、計27人を殺害した罪で逮捕された。彼は恐ろしい事に、1か月に1人以上のペースで殺人を行っていた。
誰もがただのシリアルキラーが行った事件だと思うことだろうが、警察は捜査を進めていくうちに衝撃の事実を知ることになったのだ。
ロドリゲスの先妻が証言している話しで分かって来たのだが、ロドリゲスが殺人を行うようになったのは、どうやら心臓移植手術直後からだというのだ。
そこで、警察は機密事項であるはずの臓器提供者について調査し始めた。なんと、ロドリゲスに提供された臓器は2013年に死刑になったデレック・エメリーという連続殺人犯のものだと判明した。
心臓移植後、ロドリゲスは度々「人を殺せ」という声が聞こえていたという。この声は死んだ筈のデレックの心臓から聞こえたのだろうか?
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福岡の中心部である天神の高級タワーマンションの最上階一室に、隼人とアヤの姿がある。
「嗚呼…嬉しい💖やっと…やっと…会えたのね👄ねぇ~抱いて…愛しているの💋会えない日が続いて……不安で…不安で……もっと…もっと…ああ*:・'°☆」
「分かったよ。ああ…チョッチョットお金…お金は?」
「あっ分かったわ。もう…こんな…時に*・゚💢はい!」
二人はベッドで重なり合い、アヤの情熱に押され激しく絡み合い時間は過ぎて行ったが…その時、隼人の携帯が鳴り響いて一旦愛の時間は中断され、隼人は身支度を済ませ、足早に席を立ち帰りを急いでいる。
「誰?誰からの電話なのよ?言って!言いなさいよ!私と会う時は、お金を用立てた時だけって可笑しいでしょう?本当に…本当に…私と結婚する気あるの?」
「有るに決まっているさ。アヤ」
「じゃあ今日は泊まって行って…お願い!」
「うん…でもね…仕事の都合も有るので…」
「ゥゥウウ。・゚・(ノ∀`)・゚・。シクシク女が…女がいるのねワァ~~ン😭ワァ~~ン😭行かないでって言っているでしょう」
すると、またしても携帯電話が鳴り響いて来た。その時、アヤが素早くその携帯を取った。
隼人は何を思ったか、アヤの頬っぺたをおもいっきり叩いた。
「何…何をするのよ酷い!怪しい…?誰か?女がいるのね。許せない」
「アヤ…ゴメン!叩いたりして…だけど…勝手に携帯を見るなんて…こんな事しないで、俺にはアヤだけ…アヤだけに決まっているだろう。何を言っているんだ?」
「やましい気持ちが無いのだったら、見てもいいでしょう?」
「もういい加減にしろ!俺帰る!」
「行かないで…一緒に居て!」
余りにもしつこいアヤに、つくづく嫌気がさしている隼人は、アヤの言葉も聞き入れずに帰って行った。
だが、この後アヤは何者かにこっぴどい目に合う。
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車は一路只々奥深い山奥を目指している。
「コッこんな所に私を…何故?返して!」
実はアヤはまだ殺害されていない。実はアヤには重要な役目が残っていた。だが、この後華子までもが、思いも寄らない悲劇に見舞われる。
それでは、その重要な役目とは、一体何なのか?
実は…それには想像も付かない役目が待っていた。
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