弟子探し ムゲンの刀匠編(後編)

「やあやあ、こんにちは。お初にお目に書かる。俺はドール=ヴォルージで、こっちが‥‥‥。」

〔初めまして、マスターの担当ナビゲーター、ヤタノカラス番号046改めヤシロと申します。〕


 初めましてはまず第一印象が大事だ。最初はフレンドリーに挨拶をしてみると。


「!?‥‥‥お前ら…どこから入った‥‥‥?」

「おっと?」


 その部屋の主からかなり警戒されているようだ。

 はて?警戒されるようなことなんてしたかしらね~‥‥‥。


〔マスター、何故警戒されてるんのかわからないと言いたげみたいですが、あそこにあるモニターのようなもので先までの私たちの行動を監視していたのでしょう。それに、今のあなた様の姿も警戒される要因だと思われます。〕

「?‥‥‥あ。」


 部屋の主は、赤と白の髪を短く切った俺よりも小柄な少年だった。腰あたりからは二本の尾が生えており、薄っすらと赤色の炎を纏っている種族は小柄なところを見ると火の妖精族なのだろうが額からは漆黒の二本の角が生えていて怪異族の鬼なのかと思うが、これも神族特有の能力なのか感覚的に種族わかる‥‥‥気がする。

 そういえば今の俺は攻撃特化の悪魔族に変身してるんだった。そりゃあ身長約二メートルもあるガタイの言い野郎が突然現れたらそりゃ警戒するな。


「悪い悪い、ちょっと待ってくれ。今元に戻るから。」


 と、俺は少し目をつむり集中し元の姿に戻る。最初は偶発的に変身してたけど、今では【ホムンクルス】の合間に練習し自分の意志で、各種族に変身できるようになった。

 いや~、練習の賜物だね。


「!」

「よし、これでいいな!じゃあ、改めまして俺はドールだよろしくな。」

「ああ、やっぱりお前が【セームネーム】の‥‥‥。」

「?【セームネーム】‥‥‥なに、それ?」

「なんだ、知らないのか?今お前のことが掲示板で噂になってるんだよ。」

「噂?」

「ああ、種族や性別が違うのにプレイヤーネームだけが全く同じなプレイヤーないし集団だ。」


 へー。そんな噂が立ってるんだ‥‥‥ああ、なるほど同じ名前で【セームネーム】ね。


「二つ名みたいなんがついてなんかうれしいな。」

「そうか?‥‥‥。」

「そうだな。でももう少しかっこいいのがいいかなぁ‥‥‥。」

「まあ、確かに僕もあまりかっこいいとは思はないかな‥‥‥と、そう言えばなんかようがあるんじゃなかったのか?」

「おっと!そうだった、忘れてたよ。」

「まあ、茶かなんか持ってくるからその辺で待ってて。」

「ありがとう。」


 数分待つと紅茶か何かを持てもどってきた。


「それじゃあまだ名のってなかったな僕は、キングだ。」

「キング?この空中都市の王様ってことかな?」

「違うよ、メイキングからとってキング。そんでここは、僕の専用工房【黄泉ノ工房】だ。」

「へー‥‥‥ちなみにファミリーネームは?」

「ファミリーネームはないよ。」

「そうか。」

「で、何の用でここに来たんだ?」

「ああ、そうだな。じゃあ単刀直入に言うと俺の弟子にならね?」

「え?やだ。」


あれ?今なんて言った?ちょっともう一回‥‥‥


「素晴らしい提案をしよう‥‥‥お前も弟子にならないか」

「何で二度も言うんだよ!僕はお前が嫌いだ。」


ネタは通じてるっぽいな‥‥‥。


「いや、ちょっと待ってくれよ結構真剣な話なんだ少し聞いてくれ。」

「はー‥‥‥わかった。」

「うん、まず弟子になるって言ってもいっしょに修行するとかじゃなくて、仙術を使えるようにするってことなんだよ。」

「まじで!?」

「うお!」


よ、予想以上の喰いつきだな‥‥‥。


「まあ、その前にいくつかの条件があるからそれに従えるんならって話だ。」

「へぇ‥‥‥いいよ聞かせてよ、その条件。」


 俺が条件があるといった瞬間に、キングがスゥっと目を細める。

 この目はなんだか見たことがあるな‥‥‥そう、あの商人と似たような眼だ。

 その表情に俺は思わず笑ってしまった。


「ッ―――――!!」

「?どうかしたか?」

「‥‥‥いや…なんでも‥‥‥それで、条件っていうのは何かな?」

「まあ、そんなに難しいものじゃないし、最初のやつに関してはお前に対するタダの質問だ。」

「質問?」


 おぉ!綺麗なオウム返し。


「そう、じゃあ早速するぞ。お前のこの【黄泉ノ工房】はどうやって手に入れた?」

「ああ、ここね‥‥‥ここは―————。」


 これはかなり気になったことなんだよね~‥‥‥こんなドデカい浮遊城どうやって手に入れたのかねー‥‥‥なんとなく予想はできてしまってるんだけど‥‥‥正ーー直、違ってほしいんだよな‥‥‥いや、違わないでほしいっちゃほしいんだけども‥‥‥。


「ここは、俺が作った場所だよ。」


Oh‥‥‥やっぱりかぁ‥‥‥となると、あの条件も出す必要があるか。


「そうかじゃあ‥‥‥条件を言ってくぞ、まず一つ目これはさっきの質問でなんとなくわかると思ってるけど‥‥‥。」

「ああ…うん、その質問でわかったよ‥‥‥大方、この【黄泉ノ工房】の作り方を教えろだとか、もう一つ用意しろだとかかな?」

「‥‥‥いや?今後お前含めて弟子をあと三人取ろうと思っている。俺の分含め四つの浮遊城を用意してくれ。この条件に関しては個人技術の提供と同じだからな、仙術含めヤシロ‥‥‥俺のヤタノカラスが使っている身体【ホムンクルス】の技術提供だ。」

「!?」


 お!目の色が変わった‥‥‥ふっふっふ、そりゃあそうだろう‥‥‥システム上、肉体を持たないAIにシステムにはない身体を与えるなんて技術は、こいつみたいな技術屋にはどうしても知りたいと思ってしまうだろうよ‥‥‥。


「んで二つ目、弟子になったら俺のファミリアになってもらう。」

「?‥‥‥ファミリア?」


 ん?こいつ、もしかしてファミリアとかクランの説明受けてない?‥‥‥まあ、いいか。


「三つ目、お前流の仙術を広めること。基本的にお前に俺の仙術の行使権限を与える条件だ。」

「‥‥‥それだけか?」


 キングが他には条件はないのかと聞いてきたが、


「ああ、それだけだ。」


 それ以外に特に条件がなかったので俺は、それだけだと答えた。


「そうか‥‥‥。」


 キングは条件に付いて吟味していた。ヤタノカラスと話していたところからファミリアやクランシステムについての説明も受けているのだろう。


「お、話し合いは終わったか?」 


 十数分後、キングたちの話し合いが終わったようで俺は返答を待つ。


「うん、その条件を飲もう、何よりOSの一つを使えるようになるんだったら逆に安すぎる。」

「ありがとう、じゃあ早速仙術の習得方法を教えるな。まあ、そんなに難しいものじゃないし、覚えてもらうのも三つだけだから大丈夫だろ。」

「よし、どんとこい!」


数時間後


「はぁ…はぁ‥‥‥はあぁー‥‥‥難し!」


 キングの仙術習得はかなり難航していた。


「まずいな‥‥‥一番の基礎の【闘気】が使えるようにならないと残り二つも教えられないんだが‥‥‥。」

「いや、そもそも霊力を練り上げるってイメージがよくわからないんだけど?」


 まあ、それもそうか‥‥‥そもそも魂氣なんていう抽象的なものをイメージで動かすっていうのもわからないか普通‥‥‥うーん…何かわかりやすいたとえになるもの‥‥‥


「‥‥‥あ!そうだ、霊力を粘土に見立ててみればどうだ?」

「粘土‥‥‥!できた!なるほど‥‥‥これが【闘気】か‥‥‥なんか面白いな。」

「だろ?今度はそれを足にためて圧縮してみろ。ある程度たまったと感じたら踏み出す方向とは逆方向に向けて放出してみてくれ。」

「圧縮‥‥‥ほうしゅt!?」


 今度は【仙術:瞬動】を覚えさせようとしたら制御に失敗したようで砲弾のように吹っ飛んだ。


「うお!だ、大丈夫か?」

「これが大丈夫に見えるかな?」

「すまん、見えん‥‥‥【仙術:養老・界】」


 見た感じけがはしていないようだが、一応回復しておく。


「まあ、なんにせよ【仙術:瞬動】習得だ!」

「え?これで大丈夫なのか?」

「いや、まあ発動自体はさっきので問題ないから、あとは練習あるのみだな。それじゃあ、次行くぞ?」

「おう!」


 次に覚えてもらうのは、縮地なんだが‥‥‥これはかなり難しいだろうな。


「えーっと…イメージは、明確に目的地までの道のりをイメージして闘気でそこまでの道を作る、そうしたらその闘気で作った道の端と端だけを切り取ってつなげてそのまま踏み込む感じかな?とりあえず福岡市まで行ってみようか。」

「道を作って端を切り取る?はぁ?」

「まあ、やってみんさい。【闘気】習得できたら大体のことはできる。」


 また数時間後


「【仙術:縮地】!」


 縮地を習得できたらしく、その場から一瞬でキングの姿が消えた。


「じゃあ、俺らも行くか?」

〔はい。〕


「〔【仙術:縮地】〕」


 視界が切り替わり、福岡市の真ん中の座標に出たようだそこにキングもいた。


「おめでとう、縮地習得だな。」

「うん、ありがとう。後は僕流の仙術だけど‥‥‥名前、どうしよう。」

「そのまんま王流とかどうよ?」

「シンプルにそれでいいのかな?‥‥‥。」

「まあ、お前の流派だし、好きにすればいいんじゃね?」

「そうだね‥‥‥造王流ぞうおうりゅうとか?」

「いいんじゃないか?じゃあ今度は、造王流の仙術を生み出さないとな。今回はお前が自力で生み出さなきゃいけないな。」

「そっか‥‥‥。」


 十数分後


「うん、いけるかな?‥‥‥【造王流仙術:鉄操剣てっそうけん】」


 少しの集中の後、虚空から鉄インゴットが出現しスライムのように流動形になり一瞬の間に即席の片手剣のような形になり、また流動形今度は複数の短剣になった。


「‥‥‥ッ!」


 キングが狙いを定め一か所に向けて短剣の群れを飛ばす。


「お~。金属を流動化させてそれを即席の武器にするって感じだな?」

「そう、これをさらに極めれば無限の〇製アンリミテッドブ〇イドワークみたいなことができる、はず。」


これは面白いな。




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 はい、無事弟子二人目確保!後、目標は三人。次の今回は妖精族次の弟子の種族は何でしょう?

 タイトルは今後付くであろう弟子たちの二つ名です。変更の可能性あり

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