K(1)

 暗闇に包まれたとある一室。

 そこの壁一面を無数の画面が部屋を薄暗く照らしていた。


「はあ⁈嘘だろ?」


 その画面の一つに映し出された光景に僕は思はず驚きの声を上げる。


〔マスター、落ち着け。〕


 僕のヤタノカラスにいさめられるが、これが落ち着いていられるわけないだろう。


「だってあの壁、ただの鉄製とはいえ僕が限界まで圧縮して、厚さを一メートルにして‥‥‥壁を覆う結界には物理耐性、魔法耐性、火属性耐性、水属性耐性、風属性耐性、土属性耐性、光属性耐性、闇属性耐性、浄化、超高熱、ダメージ付与をそれぞれに施した結界を二重にも三重にもしているんだぞ!?あれをたった二撃で破壊するのは普通おかしいだろ⁈」

〔いや、βテスト中に純鉄と鋼を加工する技術に辿り着いて、結界に効果を施しそれを何重にも展開する。さらにはゴーレムを作り出したマスターもおかしいと思うが?〕

「ああ、そうなんだよ!そのおかしいとお墨付きともらった俺の自慢の城壁は、今は見るも無残に粉々だよ!」


 ここで少し僕の自己紹介をしよう。僕はキングというプレイヤーネームでゲームを遊んでいる。名前の由来はメイキングのキングだ。火の妖精族の生産職だ。別のゲームでも生産職でそれなりに名をはせていて、お気に入りのゲーム会社の新作ゲームのβテスターとして遊んでいる。βのプレイヤーの中でも僕は最速で鉄や鋼の加工技術にたどり着いている。

 現段階で、生産職のトップは僕だろう。それなのにそのトップが作った壁をいとも簡単に壊すあのプレイヤーは一体何なんだよ。


〔確かに‥‥‥現時点で誰も壊すことのできない壁なのは確かなんだが‥‥‥プレイヤーネームを調べる、ちょっと待て。〕


 僕のそばにいたヤタノカラスは少し時間を置き巨大な城壁を破壊したプレイヤーの名前を調べる。


〔わかったぞ、ドール=ヴォルージだ。〕


ドール?そういえば掲示板でそんな名前のプレイヤーが話題になってたな‥‥‥確か【アカシックレコード】に初めてOSを登録したプレイヤー何だったよな、ちょっと見てみるか。


「て、なんだこれ!?」

〔どした?ちょっと見せてみ‥‥‥はあ!?〕


 僕とヤタノカラスは【アカシックレコード】に登録されているOS、OAの数にまた驚きの声を上げてしまう。

 いや、だって聞いた感じOS、OAを生み出すにはかなり時間がかかるし難易度も高いそれを二〇以上も作るとか行かれてるとしか思えんわ。僕もたいがいだけど‥‥‥。


〔これは‥‥‥うん、流石にこんな数のOSとOAを生み出してちゃあの程度の壁を簡単に壊せて当たり前だな‥‥‥。〕

「‥‥‥どういうことだ?」

〔いや、悪いお前が作った壁を悪く言ったつもりじゃないんだが‥‥‥。〕

「違う、そこじゃない。」

〔へ?〕


 どうやら僕が壁について言われたことに聞かれたらしいがそんなことはどうでもいい。俺が聞きたいのは‥‥‥


「あの壁がまだ低ランクなのはわかる。俺が聞きたいのは【アカシックレコード】のへの登録数が多いと強くなる、みたいなように聞こえたんだが?

〔ああ、そのことね。隠し要素みたいなもんだ。まず【アカシックレコード】に二〇以上のOS、OAを登録すると【創始者】という称号を獲得できる。その称号は表上は同じようにOS、OAを使うやつに対してちょっとだけ優位性を持つことができる。ただ本当にちょっとだけだからほとんど飾りみたいなもんだな。ただ、隠し効果として元の一〇倍+〇.〇一×登録したOS、OAにすることができる。〕

「なるほどな~‥‥‥そりゃあ破壊されるわけだ。今も新しく【アカシックレコード】に登r、えええ!」


 少年は視界の端に映った衝撃映像に驚愕した。自分の自信作の一つである【アイアンゴーレム】を壁を破壊した人物とその連れがたった二人で一掃し気が付けば全滅していたのだ。


「嘘だろ‥‥‥ドールの連れは誰だ?」

〔えっと‥‥‥はあ⁈〕

「どうした?」

〔い、いや…こいつ‥‥‥同僚だ。〕

「同僚?‥‥‥!まさか!?」

〔ああ、ヤタノカラス番号046〕

「え、なに?お前らって人に変身できるの?」

〔い、いやぁ‥‥‥できない、そんな設定はされていない。〕


 じゃあ、なぜ?まさか、実体のない存在に対して肉体を持たせるアイテムでもあるのか?…いや、まさかな‥‥‥。


〔うぅわ、あのゴーレムも倒しちまったよ。〕


 ヤタノカラスはドールが【Finalphase】の【スチールゴーレム】を壁と同じように破壊したことに気づいたが推測を続ける僕は気づくことはなかった。


〔て、あれ?あいつらどこ行った。〕

「うん?どうしt‥‥えええええええ‼スチールが倒されてるうううう!?」


結論が出かかったところで、僕はスチールゴーレムの残骸が映し出された映像が視界に入り出かかった結論が宇宙の彼方へ吹っ飛ぶ。

 そして‥‥‥


「やあやあ、こんにちはお初にお目に書かる。俺はドール=ヴォルージで、こっちが‥‥‥。」

〔初めまして、マスターの担当ナビゲーター、ヤタノカラス番号046のヤシロと申します。〕


 突然目の前にさっきまで画面に映っていた二人の人物が現れた。



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 ドールの技名などのネーミングセンスは一時期神話や伝説の勉強をしていたのともともと厨二病としての素質があったから。

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