第6話 初めての歓迎
廊下ににでて、今までいた部屋の扉が閉められた時、ユミコはほっとした。
ユミコを連れ出してくれた男性をみると、以前見た時と同じく友好的な微笑みが浮かんでいたが、そこに以前とは違う好奇心のようなものが彼の青い目に浮かんでいるのを感じた。
「自己紹介が遅れました。私はエイルウェン・スノーベルです。」
彼は黒いローブのフードを取りながら、そう自己紹介をした。
彼はユミコと同じく黒い髪を持っていたが、艶々と光輝き、肌は雪のように白く透き通っていて、血色の良く形のいい唇が印象的な男の子だった。ユミコと同い年くらいに思えた。
ユミコも慌てて自分の名前を名乗った。
「私は、吉田ユミコといいます。」
「長い間あの部屋に閉じ込めていて申し訳なかったです。体調は大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です。」
この世界に来てから、初めて気遣われ、優しくされたことが嬉しく、ユミコは思わず黙ってしまった。
先ほどまでの飾り気のない通路と打って変わって、ユミコが連れ出されたのは、一転して豪華な廊下。壁一面には様々な芸術品が飾られ、煌びやかなシャンデリアが天井から垂れ下がっていた。細かく施されたレリーフの床は、足下で美しい光を反射していました。突然に周りの光景がガラリと変わったのでユミコは驚いて、目を見張った。
そして、いつのまにか、ドアの前にたどり着いた。
「こちらへどうぞ、ユミコさん。」とエイルウェンが優雅にドアを開けると、そこに広がる部屋は一言で言えば'豪華'そのものだった。床から天井まで覆われたクリーム色の壁紙、薔薇木のアンティークな家具、シルクのカーテン、そしてその窓からは眩しい日差しが注いでいました。しばらく薄暗い部屋にこもっていたユミコにとって、眩しすぎるほどでした。
エイルウェンが指をさし、「こちらのソファーにお掛けください。何か飲み物はいかがですか?」と声をかけられて、ソファーに身を沈め、シルクのクッションに身を委ねると、そこは粗末なベッドとは比べ物にならないほどの快適さだった。
「はい。ありがとう。」
内心、お腹が減ってるんだけどなと思いながら、待っていると、どこからかアップルパイと紅茶を持ってエイルウェンが戻ってきました。あまりにも美味しそうなので、目が釘付けになってしまい、そんな様子をエイルウェンに気づかれ、恥ずかしくなったユミコは顔を赤らめた。
「このパイは僕が作ったんだ。早く食べてみて。」
「すごい…とても美味しそう…遠慮なくいただきます。」
目の前のツヤツヤと黄金色に輝くアップルパイを前にユミコは我慢できずに頬張りました。
「美味しい!こんなに美味しいパイは初めてです。」
「嬉しいな。ありがとう。」
にっこりとエイルウェンは笑いながら、ユミコを見つめました。
「君について色々と質問してもいいかな?」
ユミコはゆっくりと頷いて、この世界でただ1人自分を優しく歓迎してかれたエイルウェンに真摯な態度で自分に起こった出来事をできる限り正確に理解してもらおうと、決意しました。
リアル異世界乙女ゲーム:バッドエンドは許しません! @moringa
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