第4話 見世物王女は配信する


眠って眠って―――寝疲れたので起きる。


こんな時は……



「うぇ~い、あんたら王女様だぞーおはよー」


-おはよー-

-見てたよー、蛮族扱いくそワロタww-

-おはおーじょ-

-いつにもましてだるそうだなぁ-

-我らが玩具が来たぞ!うぇ~い!蛮族に蛮族扱いされる・・ねぇどんな気持ちぃ?ねぇねぇ-

-なんかゆめみたー?-



近況なんかをただただ話す雑談。配信者としては一応王族として登録者数は普通の人よりはあったが一流の配信者のように面白いコンテンツ流してるわけじゃない、というか皆やってるから私もやってるだけである。


それに私達一族は夢見ができる。過去・現在・未来に異世界まで様々な何かを見る。……ただそれを見て、それを完全に記憶する能力がある。


だからこそ発展してきたのだ、未来の人に答えを教わって1000年も生きていればそりゃ文明も超加速で進歩する。


その中でも私はかなり能力が強いほうだ。夢の世界が自分の世界と錯覚し、朝起きると偶に自分で自分がわからなくなる。夢と現実の区別がつかなくなって困るから誰かと何気ない話をする。



「夢かー……今日はぐっすり寝れたよ、夢なんて見ないほうが良いよ」



本当に夢なんて見ない方がいい。面白い夢ならもっと見たいと思うが「何も変わらない景色を数年見続ける」とか勝手に終わるまでそれを止められないしそれを夢と気がついたときはほんともう地獄、起きるまで何も出来ない自分には苦痛である。……災害なんかもわかることがあるから王家はそこそこ国民には重宝されている気がする。


王族用超高性能ナノマシンによって視界に情報が展開されているから夢と現実に区別がつく。


王宮で働く人間全員の顔の照合、表情から嘘や真実、感情を見抜くことができる。まぁ1000年も断絶していた民族だけあって感情や真偽の精度は微妙だし、まだ情報化されていない人間も多いが無いよりはマシだ。今頃情報はどんどん増えていることだろう。


私の行動もうちで働く専属秘書や知識層で集められた賢者達が助言してくれる。彼らがいなくてもAIがサポートしてくれるからこそ私は一人でも生きていられる。


まぁ風呂やトイレなんかは安全の理由上、専属秘書とAIはモニタリングできるが賢者には出来ない。


情報レベルにもよるが私の生活は国民には見られている。一般国民にも偶にこうやって配信していたりもする……元々配信はライフワークだったが今は以前にも増して大人気である。きっとなにかで覗き見してる一般市民もいるはずだ。



………はぁ。



-まーた、やさぐれてる-

-逆ハー生活はどうですか?イケメンとデートした?-

-おはおーじょ、地上で隕石とか予言しちゃってください-

-我らの玩具様、見てたよー婚約破棄されてやんのww-


「うっさいわばーかばーか!はぁ」



良くないとわかっていてもついついため息が出てしまう。


地上に来てからリスナーの意見が厳しい。元々軽くじゃれ合うように喧嘩することはよくあるが彼らの言葉が色々と突き刺さる。



だれも好きで孫までいる王様と婚約なんかしたくないっての……!



-実際脱出ゲーみたいになってきたよね、王宮のスキャンしたから隠し通路使ってみる?-

-いや、今回は晩餐会?だっけ?あの会場から出られなかったんだからだれか監視者がいるって-

-俺は王様監視してたが公衆の面前で婚約破棄されるルイスたん見て真っ青になってたのみてた-

-穴じゃ!穴掘って出てくるのじゃ!-

-逆に考えるんだ・・・もう、楽しんじまえよ・・・・・!!-

-イケメン婚約者がいるなんてうらやましーなー(棒)-

-全員脈なし婚約者とかwwぷぷっwww-



意見は多ければ多いほど良い。人数がいればそれだけ使える意見もあるかもしれないし、視聴人数は私がひとりぼっちじゃないって気になれる。馬鹿なこと言うリスナーのほうが多いけどね。


-そろそろ護衛マシンとかつくんでしょ?それまでゆっくりしてたら?-

-子供産んだら解放されねーかな-

-ルイスちゃんダイジョーブ?井戸水、飲む?-

-成人済みだし酒にしようよ-



「飲まないよ……ここの井戸水、水質検査とかしてないし怖いっての。お酒は苦手」



-マジか、地上人マジカ?フェイクニュースじゃないのそれ?-

-お風呂にも入らないとかってのもマジなの?-

-匂いフェチにはたまらない王国-



「匂いも届けてやりたいよ。息もできないぐらい臭いからね……お風呂よりも香水でどうにかしようとしてるぐらいだからね……。私は自分にも香水つけないのに………ほんっと無理」



誰かとなにか話せるだけで大分ストレスが軽減される。できればこのまま布団でふて寝したいがやることがあるんだった。



「今日の配信はここまで、王様とやることあるんでまたね~」


-おつー-

-おつおーじょ-

-また配信希望、地上の暮らしは興味深い-

-おつつー-

-またねー-


「はーい、いつも通り不定期に雑談するよー、またねー」



ちょっと元気でた。連れ去られてから1万人ほどしかいなかった私の個人チャンネルが一気に50万人まで増えたのは嬉しい………いや、完全に見世物にされてるなと少しげんなりもするが。


さて、やるか!

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