出逢い 3 精霊
私はまた阿部かおりの家にいました。
かおりの家の2階の部屋の白いソファーに私は腰かけていました。
かおりが私に話しかけてきました。
「夢は見ましたか?」
「はい、見ました」
「その夢の話しを話してください」
かおりからそう言われたので私は先日見た夢を話しました。
話し終わるかどうかの頃でした。
「私はハルーン…。あなたを待っていた」
かおりの口からそんな言葉が出てきたのです。
かおりの声は少し低くしゃがれた声になっているように感じました。
「ハルーンですか?」
私は聞きました。
もう今回で3回目なのです。
私はハルーンが現れても驚かなくなり慣れてきました。
「そうだ、私はハルーンだ。あなたを待っていた」
「なぜ、待っていたのですか?」
「あなたは今回見た夢から学ばなくてはならない…」
「私はまた何を学ぶのですか?」
「それは、今から直ぐにわかるだろう…」
ハルーンがそう言い終わるかどうかの時でした。
私は気が遠のくのを感じました。
私は夢うつつの状態になりました。
「私は自分を許さなくてなりませんでした。自分を責めることはとてもいけないことです。自分を許し受け入れなければいけませんでした。子供の死もただ受け入れなければいけませんでした」
私はこんな言葉が自分の口から出てくるとは思いませんでした。
すると、ハルーンが話し始めました。
「そうだ。あなたは自分を許さなくてはいけない。そして亡くした子供のことも受け入れて許さなくてはいけない。幼くして亡くなった者は神に近い存在なのだ。悲しまなくて良いのだ。あなたはこの悲しみを乗り越え、受け入れて同じ境遇にある者たちを励まし、慰め癒さなくてはいけない。そのことを知るために子供は幼くして死んだのだ」
尚もハルーンは話し続けました。
「あなたの今の心の病は前世において受けた傷によるものなのだ。自殺願望があるのもそのためである。あなたは自分を許さなくてはならない」
私はハルーンにこう聞いたのです。
「幼くして亡くなった子供は神に近い存在なのですか?それは若いうちに死んだ者も同じなのですか?」
私は早くにして亡くなった春樹のことを思い出していました。
「そうだ。それも同じである。彼らは他の人よりも早く生まれ変わるのだ。早世というものだ。だから悲しむ必要はない」
私は春樹が神に近い存在であるのだと感じました。
そして、幼くして亡くなったロビンも同じだと分かりました。
「これから先、あなたに起こるあらゆる出来事は、あなたの魂の成長のためにある」
ハルーンは前回と同じようにそう話したのです。
私はその言葉を聞くと頬を涙が伝って流れていくのを感じました。
そして、心や体の中から癒されていくのを感じたのです。
私は1時間ほど涙が止まらず泣き続けました。
私は半分夢うつつの状態でした。
暫くすると、またあのまばゆい暖かな光を感じました。
そのまばゆい暖かな光は私の心も体も包み込みました。
私はとても安らぎと幸せを感じたのです。
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