第6話 玉砕覚悟 2/3

「えっ、ん? 好き?」


 多分、桃子さんが予想していた方向とは違う言葉が飛んできたから、衝撃を受けちゃったんですよね。


 目を見開いちゃってます。


「はい、好きです」


 そんな姿も可愛いなあ。


 なんて呑気のんきに考えてる場合じゃない。


 同性から告白される。


 勇気を振り絞って言ったけど、普通だったら拒絶されても仕方がない。


 机の下、膝の上で両拳に力を込めて、彼女の返事を待つ。


「その……好きっていうのは、友情とかメンバーとしてだとか、そういう意味じゃないんだよね」


 視線が彷徨さまよってる。


 衝撃から立ち直れてないみたい。


 可愛いです。


「はい、違います。恋愛感情です」


 あのですね、自分でもビックリするぐらい今冷静です。


 勿論ドキドキしてるよ。


 断れる可能性の方が高いんだから。


 それを上回る……なんて言うかな。


 安心感?


 ほっとした?


 つまり、ずっと言いたかったを言えて、スッキリした気持ちなんです。


 何回も告白するシミュレーションをしてきたからかな。


 きっとそう。


 毎晩のように考えてきたもん。


 まさか、会議室で伝えることになるとは思わなかったけど。


「そっか……そっか」


 戸惑ってるなあ。


 そりゃそうだよね。


 桃子さんにとって私は、ただの後輩ですもんね。


「あの、すぐに答えは――」


「ううん。私の答えはもう出てる」


「はい?」


 言葉をバッサリ遮られました。


 マジですか。


 一旦保留にしていただいていいんですけど。


 こんなすぐに答えを出されたってことは、やっぱり……。


「今は、まだダメ」


「……はい?」


 今度は私が戸惑う番だった。


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