第6話 玉砕覚悟 1/3

 本音、か……。


 そうだよね。


 こうして2人きりで話をできる機会は、もうないかもしれない。


 俯いていた顔を上げ、ちゃんと桃子さんに向き合う。


 私を真っすぐ見てくれる桃子さん。


 どうしたらこんな綺麗な顔で生まれることができるんだろう。


 じゃなくて!


 今はそんな邪心置いといて。


 いや、置いけない。


 だって好きなんだもん。


 桃子さんの性格だけじゃなくて、顔も。


 人は顔だけじゃないけど、やっぱり顔も大事なんですよ。


 って、思考が脱線してる。


 桃子さんは気づいてるんだ。


 私がなにか言いたいことがあるって。


 だから、促してくれている。


 その通り。


 まだなにも伝えられてない。


 伝えきれていない。


 加入する前から抱え続けて、傍で勉強させてもらうようになってから、更に重みを増した想いを。


 こんな会議室で話すような内容じゃないかもしれない。


 わかってるよ。


 リーダーを引き継ぐかどうか、今すぐ考えるべき。


 正直言って迷ってる。


 私がリーダーとしてグループを引っ張っていけるかどうかは、わからない。


 桃子さんみたいに強い柱になれるかどうかも、わからない。


 でもそれは一旦保留。


「私からも、お話しがあります」


 後でじっくり考えるから、私は、私が一番伝えたいことを伝える。


「うん、なに?」


 振られてもいい。


 大好きだから伝えなきゃ。


 真剣に私に向き合ってくれている桃子さんに嘘をつきたくないから、伝えなきゃ。


 あのとき伝えておけば良かった、なんて後悔をしたくないもん。


 首を横に少し傾けた桃子さんに、

「私……桃子さんのことが好きなんです。付き合ってもらえませんか」

 あざといなっ、と思いながら、ストレートに想いを伝えた。


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