第4章 Anniversary

第13話 愛を届ける

 ライブ直前。


 会場のざわめきが聞こえてくるステージ裏。


 スタッフさん、メンバーと円陣を組む。


 一人ひとりの顔を見ながら、

「いろんなことがあったけれど、漸く10周年を迎えることができました。それは、私たちの頑張りだけじゃなくて、支えてくれたスタッフさん、ファンのみなさんのおかげです」

 声を張り上げる。


「今日は、その感謝を伝えましょう。それじゃあ……いくぞ!」


「「Push☆Pushプッシュ・スター・プッシュ!」」


 手を思いっきり天井に伸ばし、私たちはステージへと向かった。


 1曲目のイントロが流れ始めた瞬間、会場が大きな歓声に包まれた。


 まだ登場してないのに。


 この盛り上がり、凄いな。


 毎度のことだけど嬉しくってカラダ中の血が騒ぎ始める。


 深呼吸をして、気合を入れ直す。


 1度しかないAnniversaryライブ。


 ここに来られたファンだけじゃなく、来られなかったファンのみんなのためにも、完璧なステージを披露しなきゃ。


「よしっ」


 小さく息を吐いて、メンバーたちと一斉にステージに飛び出した。


「ドームのみんな! 盛り上がっていくぞ!」


 返ってきた悲鳴のような歓声。


 ありがとう。


 今日まで支えてくれて。


 これからもよろしくね。


 私たちはみんなに、愛と希望と、夢を届け続けてみせるから。


 約束する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る