第3話 New Year 2
立ち位置が端なのに不思議と誰よりも輝いているように見えた彼女に惹かれ、私は彼女のみたいになりたいと、オーディションを受けた。
無事に合格し、2018年に4期生として加入してから私はずっと桃子さんにべったりだった。
どんなときも。
好意を抱いていただけじゃなくて、彼女はアイドルとしてのお手本だったから。
ちょろちょろ後ろをついてくる私なんて鬱陶しかったと思うけど、そんなそぶりは一つも見せなかった。
「
と、積極的にいろんな打ち合わせに同席させてくれた。
ライブの演出、構成、衣装など。
無条件で傍にいられることが滅茶苦茶嬉しかった。
私を信頼してくれていることが死ぬほど嬉しかった。
そんな風に過ごしてきたから、告白するタイミングを逃してしまった。
あまりにも傍にいすぎた。
桃子さんにとって私は、ただの後輩でしかない。
私は『憧れ』以上の感情を抱いているというのに。
ほんと、ため息が出る。
彼女が卒業する前に、一般人に戻ってしまう前に想いを伝えたいのに。
縁が断ち切られる前に告白したいのに。
あーあ。臆病な私が嫌になる。
レッスンスタジオで振付師さんと話をしている桃子さんの背中を見つめる。
卒業ライブで、私は笑って彼女を新しい世界へと送り出せるだろうか。
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