第3話 機動戦隊レンジャー 大地に立つ!
河川敷を降りてくと見送っていたレンジャーの姿が橋で視界から消えた。
「さて」と目線を流れる河川に向ける。
サクラは裸足になり、ズボンが濡れないように裾をたくし挙げた。
水中の沈む遺体の衣服を物色し始める。
遺体はすでに骸となっているようだ。
ある遺体には何もなかった。
ある遺体には指輪がついてあった。
ある遺体には銅貨三枚があった。
ある遺体には肉体があった。
・・・・・・・・・・・・。
肉体?
肉体のある遺体が突如、サクラの足首を掴んだ。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ」
サクラの大絶叫はレンジャーにも届いたようで、すかさず橋の上から河川へジャンプして降りてきた。
「大丈夫か!? 何があった!!」
「足、足! 足首掴まてたってお兄さん!!」
レンジャーは腰のホルスターからすかさず拳銃を抜いて、サクラの足元めがけて一発ぶち込んだ。
大口径の威力だろうか、水しぶきが頭の上までかかる衝撃だった。
その一撃でサクラの掴まれていた足首が解放され、そのまま勢いで尻もちをつく。
全身ずぶぬれになったサクラは顔を拭うとそこには、レンジャーの姿ともう一体の人影があった。
いや、遺体が立っていた。腐った肉片を携えた歩く屍。
「アンデット・・・・・・」
レンジャーが指す言葉をサクラは深く知っていた。
ファンタジーやSFホラーに登場する生きる屍の怪物。現世ではウチと一緒だと思っていたが、リアルで見るとそこまでウチは腐っていないと言える。(腐女子ではないよ。ほんとだよ)
レンジャーはすかさずサクラの元まで後退し、安否を尋ねる。
「ヤバい相手がいたもんだな。とんだ災難だったな嬢ちゃん」
「嬢ちゃんやない、ジョンや!」
「なんかジョンって女らしくない名前だから呼びづらくてよ。ジョンと嬢ちゃんだからアンタのことをジョ――ジ―――」
「ハイストップ!! その名を言ってはいけない! その漫画は好きだけど、その名前で呼ばれると出版できなくなっちゃうから!!」
サクラは間髪入れず例のあの人の名前を阻止した。そこまで許可取ってねえよ。
「で、どうしようアンデットって死なないよね。どうすんのよこの状況!」
「アンデットは確かに死なないけど、こうやって・・・・・・」
レンジャーは弾倉から空薬莢と未使用の弾薬をとっさに取り出し、それとは異なる色をした銃弾を込めた。
すかさず近づくアンデットの眉間に狙いを定める。
「体全体を吹き飛ばせば良いのさ!」
銃口の先に紫色の光が集約するやいないや、『ドゥーーーン』と聞いたことのない爆音が轟いた。
至近距離で発砲され、サクラの聴覚と視覚が一瞬だが空白が生まれたように感覚がなくなった。
閃光で何も見えなくなった視界が徐々に慣れてくる。
そして結果として何が起きたのかが分かった。分かったといっても理解はできなかった。ただ、今起きている現状を受け入れるだけだ。
そこにはアンデットの胴体はなく、プスプスと焼け焦げた音をたてる両足だけが残されていた。その両足の断面は赤い溶岩のように溶解している。
こんなの銃弾で出来る傷じゃない。まるでレ〇ルガンとかビ〇ムマグナムのトンでも兵器じゃなければ説明できない。
さすが異世界、ファンタジーだから技術なんてないと侮っていたけど、超やばいアーティファクトあんじゃんよ・・・・・・。
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