第15話 冷血決意!頼れるのは自分だけ
~氷柱目線~
私は一人森を歩く。目指しているのは次の町だ。一刻も早くクラスのみんなを元の世界に戻さないと。戻してあげないと。
そう思ってはいるものの、私の職業的に、一人では限界を感じているのも事実。
−ステータス−
名前
Lv 13
年齢 15歳
性別 女
職業 暗殺者
体力 66
筋力 50
耐久 32
MP 35
賢さ 34
器用 72
速さ 85
勘 70
運 36
属性 風
【パッシブスキル】
・隠密
相手が自分を認識していない、もしくは意識から外した場合、相手に気づかれる確率がかなり低くなる。
【アクティブスキル】
・抜き足
足音を消す。
・急所突き
相手の急所を確実に突く。
・
速さ÷10/回敵を切りつける。
今はこちらがモンスターを見つけ、抜き足で近づき、急所突きや乱刀を一方的に決めれば勝てている。しかし、私の攻撃を耐えるモンスターや、先にモンスターに気づかれた場合、私の職業は圧倒的に不利になってしまう。体力、耐久力が低めで、モンスターの攻撃に耐えられる保証はない。そういう意味でいくと、平が本当に怖がっていた理由も分かる。だからこそあれは演技ではないと見破れたのかもしれない。
自分でも自覚しているが、私はこうと決めたら即行動に移してしまう傾向があり、その結果問題になることが多々ある。現にこちらの世界に来てすぐ、あの
そしてかなり口が悪く、みんなから怖がられているのも知っている。子どものころから負けるのが嫌いで、男に対抗するために行き着いた結論が、キツイ言い方をして相手をビビらせる、怖がらせて舐められないようにする、というものだった。
自業自得だが、やはり少し寂しい。昨日は真鍋さんがたくさん話してくれてうれしかった。平と白雲さんには嫌われちゃっただろうな。あんなキツイ言い方しちゃったし…。それを見ていたから、真鍋さんにも嫌われてしまっただろうなと思う。
……過ぎたことを考えるのはやめよう。
自分のスキルを活かすためにも、次の町に行く前にパーティーを組みたかったけれど、みんな私とパーティーを組みたがらず、最終的に平に頼ろうと考えたのだ。
しかし、平パーティーがあんなにレベルが低いとは思っていなかった。きっとあの人達の事だ。本当のことを話せば、喜んで力になるとか言って、私と一緒に来てしまうだろう。そんな事はさせられない。
この世界で死んだ人間、厳密に言うと異世界転生した者が死んだらどうなるのか、私もまだ知らない。だからこそ慎重に慎重を重ねなければ、本当に最悪な事態が起きてしまうかもしれない。
「慎重に慎重を重ねたかったんだけどな…」
自分の性格が恨めしくなる。勝手に一人で焦って、勝手に先走って、それで失敗すると分かっていても、自分の行動が止められない。
このまま今の町にいてもレベル上げが厳しくなり、次第にみんなの足手まといになることは分かっていたし、何よりみんなが心配だ。自分のできる範囲でサポートしてあげたいと考えている。だからこそ、次の町に進むしかないと考えていた。
だが次の町に行く道中、今まで会ったことがないモンスターが出るという話を聞いたのだ。なんでも、今までのモンスターが余裕だからと言って、そのモンスターを甘く見ないほうがいい、とかなんとか。この世界の人同士が話しているのを聞いたので、誤情報ということはないだろう。
今の私がどれだけやれるか…最初に会ったモンスター次第。いざとなれば、暗殺者の長所である速さを使って、一目散に逃げるしかない。逃げるのは恥なんかじゃない。生きてさえいれば何度でもやり直せるんだから。
「だ、誰か!誰か助けてくれ!」
色々と考えを巡らせながら歩いていると、どこからか助けを求める男性の声が耳に聞こえてきた。一瞬で現実に引き戻されたような感覚。すぐさま声の出所を特定するため、耳を澄ます。
「頼む!誰かぁ!」
声は右前方、次の町に進む方向から聞こえてきていた。嫌な予感がする。そもそも、元いた町ではこの世界の住人がモンスターに襲われるというトラブルはなかった。モンスターに襲われないよう、冒険者以外の村人は山に入ることを禁止されていたし、一部の人は、護衛をつけて山に入ったりしていた。それ故にこういう状況は初めてで、表情には出さないが心臓の鼓動は早くなっているのを感じる。
落ち着け、大丈夫、いざとなれば逃げればいい。そう言い聞かせながら声のした方向に走る。
数秒全速力で走ると、人があおむけに倒れ、必死に近くの樹木にしがみついているのが見えた。何かに足を引っ張られているようだ。草をかき分け、全体が見えるようになって驚愕した。
おそらくだが新種のモンスターだ。男性の足首には木の根?枝?が絡まっていて、それがかなりの力で男性を引っ張っているのが分かる。新種、ということは、今までのモンスターとは比べ物にならないほど強い可能性がある。正直足がすくむ。
だが、このままだと男性は確実に助からない。私はすぐさま思考を切り替えた。
男性を救うためには、敵を倒すか、足に絡まった木の枝を切って逃げるかだ。男性の足が引っ張られている方向に目をやるが、敵本体らしき姿は見えない。足に絡まっている木の根も地面から生えているようだ。これでは不意をついて攻撃することはできない。
だとしたら、まずは男性を逃がすしかない。そう考え、私は抜き足を発動し、男性の近くまで行くと、木の根を一刀両断した。
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